漫画『魔法使いの嫁』の感想・無料試し読み

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『魔法使いの嫁』とは

『魔法使いの嫁』はヤマザキコレによる、人間の少女と人外の魔法使いの異類婚姻譚を中心に描くファンタジー作品。連載雑誌は株式会社マッグガーデンが発行する「月刊コミックガーデン」であり、同雑誌の看板作品のひとつである。

『魔法使いの嫁』のあらすじ・魅力

人ではないものが見える能力を持つ少女、羽鳥智世は、早くに家族を無くし、親戚からも忌避され、生きる意志を失いかけていました。そんなときに、人身売買のスタッフに声をかけられたことをきっかけとして、智世は自らをオークションに出品し、落札者に自分の生死を委ねることにします。オークション会場で彼女を落札したのはエリアス・エインズワース。人間ではない、まるで怪物のような姿をした魔法使いです。彼の目的は、夜の愛し仔として類い稀な魔法使いの素質を持つ智世を自分の弟子にすること、そして彼女を自分の嫁にすることでした。

さまざまな物語に登場する異類婚姻譚のなかでも、本作は舞台となるイギリスの雰囲気を色濃くまとった、非常に雰囲気のある物語になっています。魔法使いや魔術師との出会いを通じて、智世が生きる理由を少しずつ取り戻してゆく過程と、人外であるエリアスとの信頼を紡ぐ様子が、本作の一番の魅力です。

『魔法使いの嫁』の印象的なエピソード

1巻1話:智世とエリアスの出会い

自らを特殊な人身売買のオーディションに出品する智世。オーディションに参加していたエリアスは500万ポンドもの大金で彼女を落札し、自分の家に招きました。そこで彼は、自分が魔法使いであり、智世をその弟子にすることを明かします。エリアスが自分に危害を加えることはなく、むしろ家族のようなものとして接してくれるようだと理解した智世は、戸惑いながらも彼のもとにとどまることを決めました。

『魔法使いの嫁』におけるプロローグに位置する本エピソードでは、本作の重要な設定がさっそく披露されることに。主人公のひとりである智世は生きる意志を失っており、物事を主体的に考えることのない少女であることがわかります。そのようになってしまった理由として、家族を失い、長らくほとんど天涯孤独の身であったことが明らかになるのです。彼女の主体性の欠落は、本作における重要なテーマのひとつとして描かれます。さらには智世の特徴のひとつである、妖精や怪異が見えることが説明されるのも大きなポイント。夜の愛し仔の特徴は、智世が妖精や怪異を見ることのできる原因のひとつであるとともに、魔法使いにとって貴重な資質であることが明らかになるのです。

もちろん、このエピソードではもうひとりの主人公であるエリアスの様子も描かれます。特に、魔法によるオークション会場からの瞬間移動は、彼の特徴をよく理解できる場面でしょう。詠唱とともに棘が出現して空間を移動する様子は、エリアスが魔法使いであることを如実に語るだけではなく、彼が影の棘と呼ばれていることを印象づけるシーンです。また、淡々と智世を風呂に入れ、感情の起伏もなく魔法や妖精の説明を行う場面からは、動物の骨のような外見だけではなく、彼の内面もまた人外であることがわかります。

3巻11話:あらゆる異形が交錯する

魔法使いであるエリアスは、その並外れた魔法の実力のせいで、教会の監視を受けています。彼が智世を自分の弟子にするという行為は、教会にとっては見過ごすことのできない問題であると判断されました。そのため、教会はエリアスに対し、ペナルティとしていくつかの事件の解決を命じます。そのうちのひとつが、近くの教会に居着いた墓守犬が無害であるかどうかの確認です。このエピソードでは、人間の姿をとることのできる墓守犬を実験の材料に使おうとたくらむ魔術師と、智世を傷つけられて激高するエリアスの対峙が緊張感とともに描かれます。

ユリシィと呼ばれたその墓守犬は、飼い主であったイザベルが自分の妹であると思い込んでいたため、人間の姿で意志を持って振る舞うことができました。赤毛である智世の姿に、ユリシィは同じく赤毛であったイザベルの姿を重ねます。そして智世もまた、ユリシィに触れることで、彼がなぜ教会に居座っていたのかを知ることになるのです。ユリシィは自分の飼い主であったイザベルが亡くなった後も、ずっと彼女のもとを離れずに教会の墓地に居座っているのでした。

一方、ユリシィを狙う魔術師の名前はカルタフィルス。本作で智世とエリアスが対決する、最も強大な悪役です。カルタフィルスは教会がエリアスに解決を命じた事件に大きく関与しており、事件への関わりはいずれもグロテスクな様子で描かれます。特にこのエピソードでは、イザベルの死体を掘り返し、その上半身を実験生物に用いるシーンがあり、カルタフィルスの異常性が強く印象づけられることでしょう。しかも、彼にはエリアスの魔法はおろか、頭部を銃で撃ち抜かれても死ぬことはありません。そして、カルタフィルスの不死性は、彼が事件に関与していた理由でもあったことが明かされていくのです。

そして、智世がカルタフィルスの実験生物に傷を負わされたことを知ったエリアスは、顔以外はまだ人間のようであったその姿を、さらに異形のものに変えます。エリアスの正体の一部が垣間見えるこのシーンでは、彼が人外の存在であることをあらためて認識することでしょう。その化け物じみた姿は、人間である智世との対比として印象強く残ります。

4巻16話:エリアスの過去

智世は自分の杖を作るために、エリアスの師匠であるリンデルのもとを訪れました。杖を作る傍ら、リンデルは智世に、自分とエリアスの出会いを語ります。当時のエリアスは、自分が何者であるのかがわからない様子でした。彼は、人間を避けてひたすら歩いていたものの、いつしか空腹で動けなくなっていたと言います。現在と同じく二本脚で立ち、人間の言葉を解するエリアス。しかし、その顔や全身の様子から、現在よりも異形の様子が際立っていることがわかります。リンデルはエリアスが危険な存在ではないようだと判断すると、彼に食事を与えました。そして、今後のエリアスの身の振り方について助言を請うために、リンデルの師匠であるラハブのもとへ連れて行きます。

エリアスに対するラハブの見解は、精霊や妖精の一種であるようだが、わずかに人間も混じっている存在だ、というものでした。そして、これまで人間と関わってくることを避けてきたリンデルに対して、エリアスを弟子にするよう提案します。最初はしぶしぶ了承したリンデルですが、長い年月を経てエリアスと接するうちに、だんだん彼を弟子として受け入れるようになるのでした。

本エピソードは、エリアスの過去が少しだけ明かされる重要な話です。正体不明の生物であったエリアスは、その名をラハブから与えられたことが判明します。エリアスはリンデルの弟子になったことで、魔法が使えるようになりました。そしてエリアスは、どうやら人間を食べたことがあるらしいと告白します。本当に食べたことがあるのかどうか、その真偽が明らかになることはないものの、彼が人外の存在であることを強く印象付ける一幕です。

また、この話ではリンデルの過去も明らかに。アイスランドにおいて竜の生息地の管理人を務めるリンデルはもともと人間嫌いであり、トナカイの世話をする魔法使いであったことが判明します。そんな彼もまた、エリアスとの出会いを通じて、自分以外の誰かを尊重するようになっていくのでした。彼が智世へエリアスの昔話を聞かせるのは、単純に彼女が自分の孫弟子であるからだけではないでしょう。そこには、リンデルの人間に対する接し方の変化も表れています。エリアスとリンデルの様子は、同じく師弟関係である智世とエリアスの様子と比べてみるのも面白いでしょう。

4巻18話:覚醒する智世

かつて智世がその死を看取った竜であるネヴィン。智世の杖の材料は、ネヴィンの死後、彼の身体を苗床にして育った菩提樹の枝です。完成した杖を通じて、彼女は生者と死者が交差する空間に飛び、そこで死んだはずのネヴィンの意識に触れることができました。ネヴィンは智世が浮かない顔をしている理由を聞きます。エリアスに拾われた存在である智世は、いつ自分が捨てられても構わないと思っていました。しかし、エリアスとの生活を経て、智世はだんだんエリアスが何も話してくれないことに不満を覚えていきます。そして、いつの間にか彼に対して興味を抱いていることを自覚するのでした。けれども、かつて母親に殺されかけた智世は、いつか再び自分が捨てられるのではないかという恐怖を払拭できずにいるのです。

ネヴィンは智世に対して、母親が智世ではなく自分の命を絶ち、結果として智世だけが生き残ったことの意味を問います。そして、智世のおかげでこれまで救われた存在がいることに触れ、彼女が今後どのように生きるかは自由であり、願わくは彼女自身のために生きてほしいことを告げるのです。最後にネヴィンは、エリアスともっと話をするようにと、智世の背中を押すのでした。現実に戻った智世は、リンデルへの挨拶を簡単に済ませ、杖を使ってエリアスを強くイメージします。火の鳥のような姿になった智世は、なんとアイスランドからイギリスまでの距離を自分の魔法で移動し、エリアスのもとへ帰っていくのです。

生きる意志を失っていた智世は、他人から不気味がられることを恐れてはいたものの、基本的に他人へ興味を示すことはありませんでした。しかし、エリアスとの出会いを通じて、ようやく彼女は誰かに対する興味を持ちはじめるとともに、その相手から興味を持ってもらうことを欲するようになります。エリアスに捨てられることへの恐怖は、生きる意志と表裏一体であり、智世が再び生きる意志を取り戻したことがよくわかる一幕です。その意志は強い力となって、彼女の魔法に表れます。イギリスまで一飛びで移動する様子は本作における智世の魔法のなかでもひときわ力強く描かれており、魔法使いとしての彼女の覚醒が印象強く残る場面と言えるでしょう。

6巻29話:はじめての依頼、はじめての友達

クリスマスの日、教会側の人間であるサイモンが智世にプレゼントを贈ってくれました。そのお礼をするために、彼女はエリアスとともに、サイモンのもとへ向かいます。その途中で、智世はステラという少女から、弟の行方を知らないかと尋ねられることに。奇妙なことに、両親も祖母も弟であるイーサンのことをまるで覚えていないとステラは言うのです。智世はステラからの依頼を受けて、自分の使い魔であるルツ、そしてエリアスとともに、イーサンの捜索を始めました。

やがて、イーサンが消えた原因は、何千年という長い時間を生きる人外の存在である、灰ノ目にあることが判明します。ステラに対して、弟との間に存在する縁を切ったと言う灰ノ目。実はイーサンが消える直前、ステラは彼とのけんかの最中に、弟なんていらないと言ってしまっていたのです。縁が切れたことで、ステラはいつの間にかイーサンの名前を思い出せなくなっています。

灰ノ目はその言葉の力を利用して、縁の切れたイーサンを自分のものにしようとしていたのでした。そして、姿の見えないイーサンをもし見つけることができれば、無事に返してやると智世に言います。智世は魔法で熊の姿になり、動物の嗅覚を使ってステラを導くと、無事にイーサンを引き寄せることができました。そしてステラは、智世にとって魔法使いや魔術師ではない、はじめての普通の人間の友達になるのです。

本作では魔法使いが人を助けるとき、それに見合った対価を求めます。このエピソードは、智世がはじめて普通の人間から依頼を受ける場面を描いており、魔法使いも人間と関わりを持って生活するものだということを表していると言えるでしょう。一方、言葉の力がもたらす影響を色濃く描いているのも見過ごせません。魔法や魔術とは異なる、スピリチュアリティに富んだ力の行使は、エリアスとは似て非なる人外のものとして、灰ノ目の存在を不気味に浮かび上がらせます。

7巻35話:ロンドンに飛翔する竜

カルタフィルスの罠によって、リンデルが面倒をみていた竜の雛が密漁にあったことを知る智世とエリアス。学院側からの依頼を受けて、智世とエリアスは雛を取り返すことに協力します。智世の推測から、雛のうち1頭は近々ロンドンで開催されるオークションに出品されることが判明しました。それは、かつて智世が自分を出品したオークションだったのです。智世はオークションでの取り次ぎ業務を行っているセスの協力を得て、オークションで雛を競り落とすことを決めます。しかし、雛はカルタフィルスに実験材料として切り刻まれるイメージを連想してしまい、オークション会場においてその恐怖を爆発させてしまいました。

錯乱した雛は周囲の魔力を取り込んで一気に竜へと成長し、オークション会場を火の海に変えていきます。竜をもとの雛に戻す手段は、智世が竜に直接触れて魔力を吸い取り、その吸い取った魔力をエリアスに分散してもらうこと。智世とエリアスがなんとか竜に飛び乗りましたが、竜が吐いた炎のブレスがエリアスに命中し、彼は振り落とされてしまいます。ロンドンの上空へ飛翔した竜に対して、智世はエリアスのいない状態で竜の魔力を吸い取りました。けれども、吸い取った魔力を分散する手段がなく、魔力は智世の中で行き場を失います。智世はなんとか一命を取り留めたものの、その左腕は異形のものに変わってしまっていました。

このエピソードでは、物語の最初に出てきたオークションが再び登場するだけではなく、魔術の研究を行う学院の人間が多数登場するなど、物語のスケールが一気に拡大します。また、これまでなりを潜めてきたカルタフィルスが再び登場。またもや誰かが犠牲になるのではないかという不安が作中に漂います。その不安は本エピソードの最後で現実のものとなり、智世は左腕をおぞましい形に変えてしまうのでした。自己犠牲を伴ってでも誰かを助けようとする智世の在り方は、その賛否はともかくとして印象的に映ることでしょう。

8巻40話:智世とエリアスの決別

“智世の左腕が変形してしまったのは、竜の呪いの力によるものでした。智世とエリアスは、オークション会場で出会った魔女のマリエルから、魔女の集会に行けば腕をもとに戻す手段が見つかるかもしれないという情報を入手します。しかし、集会で判明したのは、竜を殺した状態で呪いを解くことは可能であるものの、竜を生かした状態ではどうすることもできないということでした。集会を後にするエリアスに、マリエルはある方法を使えば竜を生かした状態で解呪することができるとこっそり打ち明けます。その方法とは、別の誰かに呪いを転移することでした。

学院に保管されていた魔導書から、エリアスは呪いを転移するための方法を入手します。呪いの転移先に選んだのは、なんと智世の友人であるステラでした。智世のもとへ遊びに来たステラを捕らえると、エリアスは智世を魔法で眠らせ、呪いを転移する魔法の準備に取りかかります。しかし、ステラのなかにはカルタフィリスが潜んでいたのです。彼はステラの姿で目を覚ますと、同じく目を覚ました智世に対して、エリアスが自分に呪いを転移させようとしていることを暴露します。

自分に黙って友人であるステラを犠牲にしようとしたエリアスに対して、智世は激しい怒りをぶつけました。一方、ステラのなかにいるカルタフィルスは智世に対して、自分に協力すれば死を回避できる術を提供するとともに、ステラを無事に返してあげる、などと言います。数々の犠牲を生み出してきたカルタフィルスの提案に、半信半疑の智世。けれども、今のエリアスを信じることができない智世は、カルタフィルスについていくことを決めるのでした。

このエピソードは、人間と人外の間における考え方の違いを明確に意識させるものです。智世とエリアスの間には、これまで同じ時間を過ごしてきたことによる信頼関係が芽生えていました。エリアスは確かに智世を大切に思っており、生きてほしいと願っています。けれども、そのために誰かを犠牲にすることに躊躇はありません。それは、犠牲の矛先に智世の友人であるステラを選ぶことからも、容易に理解できます。

もちろん、理由がどうであれ、智世がエリアスの行為を許せるはずもありません。しかし、エリアスのこうした倫理観の欠如は、あくまで人間からみた場合のものであり、人外である彼にはそれが理解できないのです。人間と人外のあいだに存在する差異とは、その外見だけではなく、内面にも表れているということを印象づける一幕と言えるでしょう。智世とエリアスの間における考え方の違いがどのように埋まっていくのかというのは、本作のテーマであるだけではなく、異類婚姻譚そのものの魅力でもあります。

10巻49話:学院でのあらたな生活

夜の愛し仔であり、なおかつ竜と不死の呪いを身に宿した状態の智世は、学院にとってもまたとない研究素材でした。学院の魔術師であり、エリアスや智世の協力者でもあるアドルフは、学院の要望として、智世に学院の聴講生にならないかと誘いをかけます。腕の呪いが解ける可能性があるだけではなく、魔法や魔術の知識を習得できる点に興味を惹かれた智世は、エリアスと相談し、彼とともに学院の門をたたくことにしました。智世は聴講生として、エリアスは魔法の授業の講師として、学院での生活を始めます。

学院には、カルタフィルスの事件を通じて知り合った魔術師のミハイル、そしてアリスが先にいました。さらには智世のルームメイトであるルーシー、そして総勢10名を超えるクラスメイトが二人を出迎えます。特に、智世をこっそりと調べるフィロメラ、魔法に並々ならぬ興味を示すトーリー、腹に一物ありそうなゾーイの存在は、新章の開幕と同時に新たな伏線を提示しました。学長をはじめとする運営側もどうやら一枚岩の存在ではなく、智世やエリアスに対してどのような対応をとってくるのか不明な様子。魔術師の相互扶助組織である学院は、実は平穏な場所とは言い難いのかもしれません。

最終巻では、カルタフィルスの事件が一区切りした直後の話として、ようやく自分とエリアスを受け入れた智世の、新たな物語が始まりました。『ハリー・ポッター』にも見られるように、魔法や魔術の世界には学校が魅力的な舞台装置として機能します。魔法の授業を担当するエリアスの存在は、本作がファンタジー作品であることをあらためて気づかせてくれるでしょう。また、新しい登場人物に付随して張られる伏線はかなり多く、自然と今後の物語の広がりを予感することに。さらには、講師としてエリアスが利用する顔の正体や、ミハイルがエリアスを嫌っている理由など、これまで謎とされていた部分にも注目が集まります。

『魔法使いの嫁』の登場人物

羽鳥智世

『魔法使いの嫁』の主人公。日本人には珍しい赤い髪の色をしており、妖精や怪異といった人には見えないものを見ることができる。父親は弟を連れて蒸発し、母親は自殺したため、親戚に引き取られることになる。しかし、その特異な能力のせいで周りからは不気味に思われてしまう。生きる意志を失い、自分自身を非合法のオークションに出品したところ、魔法使いであるエリアスに落札され、彼の弟子になる。

魔法使いとしての卓越した素質を持っており、特に他人の意識や記憶には過敏なくらいに感応してしまう。他方、夜の愛し仔として過剰に生産し吸収する魔力に体が耐えきれないため、寿命は3年程度といわれている。穏やかな性格であるが、友人や知人が傷つけられたときには激高することもしばしば。他人を救うための犠牲は自分が払うべきであると考えている節があり、エリアスに黙って飛び出していくことも多い。当初はエリアスに対して依存している様子が見られるものの、彼のことを少しずつ知るにつれて、一緒にいたいと思うようになる。

エリアス・エインズワース

『魔法使いの嫁』のもう一人の主人公。動物の骨のような頭部に角を生やしている。人間と接する場面では、その顔や体を人間そっくりに作りかえることもある。他方、智世が傷つけられたり、感情が大きく揺さぶられたりしたときには、その身をさらに獣のような異形の姿に変えることも。攻撃的な魔法や人の影に潜む魔法を得意としており、魔法を使う際には棘が出現することから、影の棘や裂き食らう城の異名を持つ。夜の愛し仔として魔法の素質を持った智世を500万ポンドで落札し、彼女を弟子に、そして自分の嫁にすると宣言する。

人間ではないエリアスの正体は不明。もとは妖精や精霊の類いのようだが、わずかに人間が入っているとも言われている。師匠であるリンデルと出会うまでは、ひたすらに人間を避けて歩いていたという記憶しか持っていない。人間らしい感情を理解することができておらず、智世との交流を経て、自分のなかに生じる嬉しさや嫉妬のような感情を持て余している様子もしばしば。また、智世を助けるためなら平気で彼女の大切なものを犠牲にできるなど、倫理観が欠如している部分がある。

ルツ

智世の使い魔。もともとは教会の墓守犬であり、飼い主であるイザベルのもとで、ユリシィという名前で暮らしていた。イザベルのことを飼い主ではなく自分の妹であると思い込んでいたため、彼女の死後、人間の姿をとることができるようになる。智世の赤い髪の色やその容姿にイザベルの姿を重ね合わせていたこともあり、彼女と心を通わせる。カルタフィルスの襲撃を受けた際に智世と使い魔の契約を行い、彼女からルツの名を与えられた。普段は犬の姿をしているか、智世と同じ歳くらいの少年の姿で彼女の側にいる。使い魔となったことでルツは智世の感覚や感情を少しずつ共有しており、彼女を置き去りにした家族の記憶についても、智世が覚えている範囲で把握している様子がある。

シルキー

エリアスと智世の身の回りの世話をしている妖精。人間のような姿をしており、給仕服に身を包んでいる。声を発することができず、会話は身振りか筆談で行う。エリアスの代わりに、家に訪ねてくる人間の応対をすることも多い。過去にはバンシーとして別の家に憑いていた。その家が廃れてしまい、行き場を無くして消えようとしていたところを丘の防人によって導かれ、今の家にやってきたという経緯を持っている。

カルタフィルス

少年のような姿をした、二千年近くのときを生きる魔術師。魔法使いや他の魔術師からはさまよえるユダヤ人と呼ばれることがある。不死の体を持っており、他人の体を材料にして、自分の体を瞬時に再生できる能力を持っている。その不死の体は過去にイエスへ石を投げつけたことによる呪いであり、体が朽ちることはないものの、傷が治ることもなく、そのため痛みを感じ続けなければならない。永遠に続く痛みから解放されるために、朽ちることのない体を手に入れるという目的を持っており、そのためには他人や妖精を躊躇いなく犠牲にする。

『魔法使いの嫁』の世界

夜の愛し仔

生きているだけで無尽蔵に魔力の生産と吸収を行うことができる存在のこと。体に多大な負荷をかけることになるため、長く生きられないケースが多い。そのため、生きている状態の夜の愛し仔はとても希少であるとされている。妖精や精霊を引きつける特性があるため、同じく妖精や精霊の力を借りて奇跡を起こす魔法とは非常に相性が良い。智世が見えないものを見ることができるのも、この特性の影響を少なからず受けている。一方、膨大な魔力を有する夜の愛し仔は魔術やその実験における格好の触媒であり、魔術師に生きた電池として利用され、使い捨てられることがある。

魔法使い

魔法を行使することができる者のことを指す。魔法とは妖精や精霊の力を借りて、世界の理に干渉して起こす奇跡のことである。妖精や精霊との相性が悪いと魔法を使うこともできないうえに、場合によっては妖精達に食われてしまうことすらあるため、一般的に魔法は魔術よりも適性が必要とされている。また、魔術師は歳をとる概念を持っているが、魔法使いは持っていないとされており、見た目と年齢が一致しないことが多い。

魔術師

魔術を扱うことができる者のことを指す。魔術とは科学のひとつであり、世界の理を理解し、自身が有する魔力によってその理を組み替えたり書き換えたりすることによって結果を起こすものである。また、魔術は魔法から生まれたともいわれており、才能に左右される魔法に対して、理論的に理を解明していくことに主眼が置かれている。しかし、世界の理を理解するための知識は膨大な量にのぼるうえ、この世の森羅万象が干渉しているため、ひとつの結果を出すのにも気が遠くなるような努力が必要となる。

魔女

魔法使いとほとんど変わらない存在であるものの、単独で行動することはなく、カヴンと呼ばれる互助組織のグループに所属して生きる者達のことを指す。カヴンでは簡単な儀式や集会を開き、情報を交換しながらお互いに助け合うことを目的とする。魔法使いよりも呪いに特化した者達であり、解呪の方法について豊富な知識を有している。なお、魔女とはウィッチを日本語に置きかえた単語であり、作中では男性の魔女も存在していることがわかる。

妖精

普通の人間には見ることのできない存在。魔法を使うには妖精の協力が必要となる。そのため、魔法使いからは隣人と呼ばれることもある。姿や形はさまざまであり、シルキーのように人間の姿をした妖精も存在する。

使い魔

主人の魔力を食べる代わりに、主人の手足となって動くもののこと。主人を裏切ることはなく、また主人のことに対して非常に敏感である。動物や妖精を使い魔にすることが多い。

管理人

竜の国において竜と人の接触を制限する者のこと。現在はエリアスの師匠であるリンデルが管理人を務める。竜の体や血は魔術や魔法において格好の素材となるので、乱獲が起こらないように学院と協定を結んでいる。また、退化を求める竜が人間の敵として進化することを防ぐために、不用意に竜の国へ人間を近づけさせないことを目的とする。

学院

魔術師や魔法使いのために作られた、知識の共有や経験の蓄積、相互扶助を目的とする機関のこと。魔術や魔法の授業を通じて魔術師を育成するだけではなく、魔術そのものを研究する機関でもある。また、込み入った理由を持っている魔術師を匿う、シェルターのような役割も有している。

教会

魔法使いや魔術師を監視する組織のこと。エリアスを規格外の魔法使いとして危険視しており、つかず離れずの距離を保ちながら彼を監視している。過去にエリアスが起こした案件をもみ消し、竜がロンドン上空を飛翔した際にはその隠蔽に奔走するなど、人間の社会に魔法や魔術が漏れるのを防ぐのが目的である。

マギウス・クラフト

魔力を動力とする道具のこと。作中では夜の愛し仔である智世の膨大な魔力吸収を抑えたり、魔力の吸収や生産そのものを止めて魔法を使えなくしたりする道具が登場する。

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