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『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』とは
小学館のガガガ文庫から刊行されている人気のライトノベルである。ひねくれた考え方が特徴の通称「ぼっち」こと比企谷八幡の、奉仕部での日々を描いている。「俺ガイル」や「はまち」と略され、比企谷八幡の独特な思考が人気だ。また、舞台は千葉県千葉市であり、作品中で千葉に関するワードがちりばめられている。作者の渡航さんが千葉出身であることが理由だが、地元の人間以外にはわかりにくい表現もある。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』のあらすじ・魅力
千葉市立総武高等学校に通学している、比企谷八幡が主人公です。高校の入学式当日に事故に遭ったことがきっかけで入学式に参加できず、通学が可能になった段階ではクラスのなかでグループが出来上がっていました。元々のひねくれた性格もあり、存在感を消すことで平穏に過ごしていたのです。そして「ぼっち」になっている比企谷八幡を気にかける生活指導担当教師の平塚静によって、強引に奉仕部へ入部させられることからストーリーがはじまります。
奉仕部には、比企谷八幡とは異なる方向性にひねくれたヒロインの雪ノ下雪乃、比企谷八幡と同じクラスの由比ヶ浜結衣が加わり、3人を中心にストーリーが進むのです。学校内で起こるさまざまなトラブルを解決していくなかで、3人の関係にも徐々に変化が生まれます。誰もが経験する「青春」という時間のなかで悩み苦しむ少年と少女の姿を、辛辣かつコミカルに描いていることが魅力です。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』の印象的なエピソード
1巻1話:3人が交わるとき
高校の入学式の朝に、高級車に轢かれそうになった犬を助けて事故に遭い、入院します。うまく高校生活のスタートをきれなかったため「ぼっち」になってしまうのです。どのようなことも斜めから見て批判する性格であり、休み時間には教室の隅の席で寝たふりをして過ごします。しかし、実際には周囲との関係を築きたいと感じている一面もあるのです。友達もいない、ひねくれ者の男子高校生比企谷八幡が、美少女の雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣とともに、奉仕部で一緒に活動することになります。
雪ノ下雪乃は成績もよく美人であるため小学生の頃から男子生徒に人気がありますが、女子生徒からは嫉妬されて壮絶ないじめを受け続けているのです。そのため、友達はいなく、いじめの経験もあり、敵とみなす者に対しては厳しいものの、由比ヶ浜結衣のように人懐こい相手に対する接し方が分からず、挙動不審になってしまいます。父は県議会議員で建設会社社長と裕福な家庭に育ち、現在は実家を離れて、高級マンションで暮らしている設定です。
実は、雪ノ下雪乃の父は、比企谷八幡が高校入学初日に交通事故に遭った相手でもあります。同乗していただけの雪ノ下雪乃には非がないものの、一切の関わりがないとも言えません。さらに、事故の現場には由比ヶ浜結衣もいました。そして、比企谷八幡のひねくれた思考が交わり、関係が複雑なものになっていくのです。
由比ヶ浜結衣の挨拶は「やっはろー」で、個性的な挨拶やあだ名を付けることが好きであり、奉仕部のメンバーにも「ひっきー」や「ゆきのん」とあだ名を付けます。しかし、挨拶やあだ名から見てもわかる通り、ネーミングセンスはなく、自分のあだ名を「ゆいゆい」とした際にも友人から引かれてしまいました。奉仕部には依頼人として関わり、結果として奉仕部に入部するものの、スクールカースト1位のグループから抜けることはありません。人付き合いのよさや、器用さなどもあり、社交性も高いが、八方美人である自分に嫌悪感をいだいているのです。
由比ヶ浜結衣が奉仕部に入部するきっかけとなった最初の依頼内容は「手作りのクッキーを食べてほしい相手がいる」というものでした。実は、クッキーを食べてほしかったのは比企谷八幡です。高校入学初日の交通事故は、由比ヶ浜結衣の愛犬を助けようとして起こったものであり、事故のときから好意を寄せていました。結局、クッキー作りは成功せず、クッキーを渡すことはありませんでした。また、勉強はできず、数学のテストでは12点をとった経験もあり、意味不明な発言も多いことから比企谷八幡には「アホの子」と認定されます。雪ノ下雪乃からは『キャラでない。真性のバカ』といわれてしまうほどです。本人も、勉強をする時間は無駄であると考えていたものの、比企谷八幡と同じ大学を受験したいという目標を持ってからは、勉強をするようになります。
正反対の魅力がある2人の女子生徒に対して「ぼっち」の比企谷八幡はコミュニケーションを取って恋愛に発展させることなどできるはずもありません。1巻では、奉仕部での出会いから活動開始までを描いています。クラスのグループに入れなかった主人公のエピソードが印象的です。
3巻1話:2人の今後に期待!
3巻からは、雪ノ下雪乃の姉である雪ノ下陽乃も登場しています。比企谷八幡との気持ちのすれ違いにショックを受けた由比ヶ浜結衣が、奉仕部に来なくなりました。そのため、奉仕部の顧問である平塚先生が、代わりとなる部員を1名補充することを命じます。3巻は、比企谷八幡と雪ノ下雪乃が2人で過ごすシーンが多いことが特徴です。たとえば、休日に比企谷八幡と妹がペットの展示即売会へ足を運んだところ、偶然会った雪ノ下雪乃とともに展示会を見て回ります。
また、雪ノ下雪乃が由比ヶ浜結衣への誕生日プレゼントを購入するためにでかけると、そこで初めて姉の陽乃と会うのです。奉仕部への活動に関しては、材木座から遊戯部との試合に勝つために助けてほしいと依頼されます。奉仕部への依頼は雪ノ下雪乃と2人きりという場面とは無関係にも思えますが、材木座からの依頼がきっかけとなり、由比ヶ浜結衣との誤解やすれ違いの問題が解決するのです。平塚先生の指示も、由比ヶ浜結衣が戻ることによって解決されていく点が、3巻のエピソードの見どころであるとも言えます。さらに、2人で行動をともにするシーンが多く、雪ノ下雪乃が比企谷八幡へ歩み寄るシーンから、2人のその後の関係にも期待できます。
4巻1話:それぞれの過去
季節の設定は夏。比企谷八幡は小町の夏休みの宿題を手伝いながら、のんびりと夏休みを過ごしています。そこに、奉仕部顧問である平塚静先生から呼び出され、小学生の林間学校の補助員として2泊3日でボランティアをすることになるのです。比企谷八幡と一緒にボランティアをするのは、奉仕部の2人と小町、クラスメイトの戸塚、戸部、葉山、三浦、海老名でした。1話に多くのキャラクターが登場することもはじめてであり、葉山と小町は初対面であるなど、新鮮な会話のシーンも魅力です。
林間学校の1日目は、オリエンテーリングでランチの準備をします。しかし、オリエンテーリングのグループのなかで孤立する鶴見留美と出会い、雪ノ下雪乃は、鶴見留美を助けるとを宣言するのです。2日目は、キャンプファイヤーと肝試しが行われます。キャンプファイヤーの準備を終えた比企谷八幡は、鶴見留美の意思を確認するチャンスがあり、その後ボランティアのメンバーに解決策を提案しました。鶴見留美が中心のストーリー展開にも見えますが、雪ノ下雪乃が鶴見留美に対して、いじめにあった過去を重ねます。由比ヶ浜結衣が鶴見留美の意思を汲む描写や、葉山も過去の思い出を振り返るなど、キャラクターの過去が見えることが特徴です。
5巻1話:周囲と関係を持ちはじめる主人公
5巻は、4巻に続いて夏休みのストーリーです。由比ヶ浜結衣が比企谷八幡の自宅に行き、家族旅行にでかけるため飼い犬を預かってほしいと頼みます。続いて、比企谷八幡が予備校に行くと川崎沙希と会い、予備校の帰り道で川崎の弟である大志と比企谷八幡の妹小町の話を耳にするのです。また、戸塚彩加に誘われえて映画を観に行き、その後材木座と合流、さらにその後、平塚先生に会って2人でラーメンを食べます。ラーメンを食べながら会話をするシーンでは、セリフの一つひとつが深く、印象的です。
短編集のようにストーリーが続き、最後に由比ヶ浜結衣と会って花火大会へ行きますが、会話や距離感のぎこちなさが印象的でもあり、もどかしくもあります。また、花火会場では雪ノ下陽乃とも会います。
6巻1話:トラブルの解決方法が変わる
夏休み明けには文化祭が行われます。文化祭の役割分担を決定するためのロングホームルームの時間、保健室で過ごしていた比企谷八幡ですが、教室に戻ってみると文化祭実行委員に選ばれていました。同日の放課後、女子の文化祭実行委員を決定することになります。葉山隼人の推薦もあり、スクールカースト2位のグループにいる相模南に決まるのです。相模南は、自信がないといった素振りをするものの、実際には自信がある様子も見え隠れします。
文化祭実行委員となった比企谷八幡と相模南は、文化祭実行委員会へ参加をするのですが、委員会では同じように文化祭実行委員になった雪ノ下雪乃も参加していました。第1回目の文化祭実行委員会では、委員長を決定します。生徒会長である城廻や顧問の教師は雪ノ下陽乃の妹でもある雪ノ下雪乃がよいと考えていたものの、相模南が立候補して委員長になったのです。立候補をした相模南は、奉仕部を訪れて委員長のサポートをしてほしいと依頼をします。依頼には、相模南が他人の協力をあてにする姿勢が見えます。
6巻の奉仕部は、文化祭の準備でスケジュールが忙しいうえ、雪ノ下雪乃と比企谷八幡が文化祭実行委員になったため、活動休止となります。ただし、雪ノ下雪乃は、相模南からの依頼を引き受けるために副委員長となったのです。雪ノ下雪乃は要領がよく、さまざまな作業をスムーズにこなしますが、委員長の相模南との実力の差をみせることにもなりました。徐々に雪ノ下雪乃の負担が増え、体調不良に陥ります。
状況を改善するため、また文化祭の最終日に起こるトラブルに対処するため、比企谷八幡は「褒められない」方法で解決するために動きます。6巻までの比企谷八幡の解決方法は、ひねくれたものではあったものの達成感もありました。しかし、6巻では、少々後味の悪い解決方法であり、反面、後味の悪さが印象に残るエピソードでもあります。
7巻1話:距離感が印象的!修学旅行のエピソード
7巻では、修学旅行でのエピソードを中心に描いています。体育祭や文化祭を終え、残る大きなイベントといえば修学旅行です。奉仕部の3人は、通常通りに部室でのんびりと過ごし、修学旅行に関する雑談をしていました。話をしているところへ、比企谷八幡と同じクラスの男子4人、大和、葉山、戸部、大岡が訪れます。比企谷八幡と雪ノ下雪乃に対して相談があると切り出し、戸部が好意を寄せる海老名へ修学旅行中に告白するため、サポートしてくれないかと頼んだのです。
乗り気ではない比企谷八幡と雪ノ下雪乃ですが、由比ヶ浜結衣からサポートするよう背中を押され、渋々引き受けます。しかし、奉仕部の3人は恋愛経験が浅く、アドバイスなどできるはずもないのです。ひとまず、戸部に対してアピールポイントを聞いてみるものの、成功すると思えるようなポイントもありません。反対に、告白が失敗すると予想できる状態です。次に海老名が奉仕部に現れ、仲がよかったグループの雰囲気が、これまでとは違うことを相談しました。
海老名は、由比ヶ浜結衣と同様にクラスの女王様でもある三浦優美子がいるグループの一員であるものの、腐女子であることを公言しています。クラスの男子同士がカップルになることを想像して鼻血を出すなど、独特のキャラクターです。性格は穏やかであり、笑顔を絶やさないことが魅力で、三浦優美子とは異なります。グループ以外の人間を見くだしたり、上から目線の言動を見せたりすることもありません。実は、心の奥に闇を抱えており、自分と境遇が似ている比企谷八幡に対して闇を告白したこともあるのです。カースト内の微妙な変化を感じ取るものの、対応策を見い出せないもどかしさが印象的であると言えます。
修学旅行では京都へ向かい、戸部と同じクラスの比企谷八幡と由比ヶ浜結衣は、海老名と接近できるように計画を立てます。観光する際のグループや観光スポット、新幹線の座席など、戸部のためにプランを考えて実行するものの、2人の関係は進展しているようには見えません。そして、戸部と海老名の進展がないまま、修学旅行最終日を迎えてしまいます。7巻のストーリーは、戸部が海老名の関係が中心の修学旅行を軸に進み、友情、恋愛のバランスがよいストーリー展開が印象的です。
また、奉仕部の3人もそれぞれ楽しみにしている修学旅行でもあり、由比ヶ浜結衣は、比企谷八幡との思い出を作ろうと積極的に行動します。さらに、比企谷八幡と雪ノ下雪乃、平塚先生の3人が夜の自由時間で偶然会い、ラーメンを食べた帰り道の描写が印象的です。比企谷八幡と雪ノ下雪乃が2人で並んで歩きますが、近付くことも離れることもない絶妙な距離で歩き、2人の関係がクローズアップされます。
9巻1話:奉仕部メンバーの成長
9巻1話は、生徒会選挙を終えたあとのクリスマスイベントのエピソードです。12月半ばの奉仕部の3人は、表面上はこれまで通りに過ごしています。しかし、修学旅行の出来事などもあり、実際には気まずい関係のままだったのです。そこへ、一色いろはが奉仕部を訪れ、生徒会が実行している海浜総合高校との合同クリスマスイベントが円滑に進んでいないためサポートをしてほしいと依頼します。比企谷八幡と一色いろはは、イベントに関する話し合いを行うため、コミュニティセンターへ通います。
しかし、イベントを実行するためのスケジュールについては、比企谷八幡が想像している以上に進んでいませんでした。イベントまでの時間が迫っており、予算もできることも限られている状態です。解決策が思いつかず足踏み状態の比企谷八幡ですが、平塚先生からのアドバイスをもとに、イベントだけではなく奉仕部の今後に関しても結論を出します。結論は、比企谷八幡をこれまでとは異なる行動に走らせるのです。9巻では、奉仕部のメンバーそれぞれから感情があふれる描写があり、奉仕部の3人の関係も改善します。それぞれの言動の変化かから成長が読み取れるため、感動できるエピソードでもあります。
6.5巻1話:悪意への対抗
6.5巻は、9巻のあとに出版されており、6巻と7巻のあいだとなる体育祭のエピソードが描かれています。文化祭を終えた奉仕部の3人に、平塚先生から「悩み相談のメールに回答する」という新しい活動内容が発表されました。ストーリーは、城廻めぐり先輩と三浦優美子のメールが中心となります。三浦優美子の相談内容は、文化祭の以来、相模南と友人たちのせいでクラス内の雰囲気が悪化しているという内容です。比企谷八幡は、時間が解決するだろうといったものの、雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣は解決するために対策を検討します。
城廻めぐり先輩の相談内容は、体育祭の目玉となる競技のアイデアが欲しいというものです。さらに、体育祭運営委員会の委員長を決定しなければならないという内容も含まれていました。そこで、文化祭実行委員長であった相模南を体育祭の委員長にすることで、2つの問題を一気に解決しようとします。しかし、相模南が委員長になったことにより、委員会の各運動部が協力しなくなり、体育祭のスケジュールにまで影響を及ぼすことになったのです。比企谷八幡は、少々強引な方法で解決しようと動きます。
ほかのエピソードでは、比企谷八幡は「ぼっち」ではあるものの、周囲が無関心であることも特徴でした。しかし、6.5巻では嫌がらせを受けたり、陰口を言われたりする場面があります。無関心ではなく、悪意のある「ぼっち」になってしまうのです。比企谷八幡への悪意に対して、雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣が比企谷八幡以上のやる気を出します。比企谷八幡に対する、強い2人の思いやりや好意を感じられる、印象的なエピソードです。
12巻最終巻1話:ヒロインの感情と主人公の人間性
由比ヶ浜結衣に関して、11巻では比企谷八幡が「彼女だけはずっと、正しい答えを見ていた気がする」と言っています。由比ヶ浜結衣は雪ノ下雪乃が比企谷八幡に対していだいている感情を知ったうえで、3人の関係に決着を付けるべく話をするというエピソードです。12巻では、陽乃の本心も見えることが魅力のひとつであると言えます。陽乃は、比企谷八幡たち3人の関係を混乱させておもしろがるという、厄介なキャラクターでした。しかし、12巻では、雪ノ下雪乃に協力をしたいと申し出るなど、人間らしさが垣間見えます。
陽乃は、雪ノ下雪乃が自立できるようにと行動を起こしていたのではと推測されるほどです。雪ノ下雪乃を自立させるためには、本人はもちろん、周囲の人間にも絡みます。不器用で優しいシスコンともいえますが、執着心も感じることが印象的です。また、12巻でも、奉仕部に依頼をするのは一色いろはでした。「プロムクイーンになりたい」という、一色いろはらしい理由ではあるものの、1人で何かを成し遂げることを目標とする雪ノ下雪乃からすれば、タイミングがよかったのです。雪ノ下雪乃の母親に反論するなど、一色いろはらしい一面も健在でした。
さらに、12巻では比企谷八幡が「お兄ちゃん」であることを印象付けるセリフは多く見られます。陽乃は、比企谷八幡に対して、雪ノ下雪乃との関係を「共依存だ」として、雪ノ下雪乃から頼られてサポートすることに満足していると指摘するのです。京華を甘やかしたことで川崎に叱責されるストーリーや、小町の兄離れ、一色から「過保護」と指摘されるシーンのあとに、陽乃が言った『まだ“お兄ちゃん”するの?』という言葉も印象的でした。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic」内において、はじめて「依存」というワードを使ったこともあり、印象的なエピソードとなりました。1人ぼっちではなくなった比企谷八幡でも、根本的な人間性は変わらないという点が非常に印象的です。2018年10月18日に発売予定だった「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic」13巻は発売が延期となり、2018年11月20日に発売される予定です。最終巻は14巻とされており、13巻発売から1カ月後に発売予定であるとされています。13巻と14巻は、2巻続けて読むことで「最終巻」として完結することから、1カ月という短い間隔で発売する予定です。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』の登場人物
比企谷八幡
8月8日生まれのA型、得意科目は国語と日本史で国語の成績は学年3位、数学は最下位という文系男子である。2-Fクラスの男子生徒で、ビジュアルは悪くはないが死んだ魚のような目をしていることが特徴だ。最初は、クラスメイトから空気のように扱われ、知人からは根性と目が腐っているなどと酷評される。家事が得意で、自宅では「カマクラ」という猫を飼育している。趣味は読書であり「ごんぎつね」と「よだかのほし」がお気に入り、特技はなぞなぞ、クイズ、独り言だ。
好きな食べ物はドライみそピーとハニーローストピーナッツ、休日の過ごし方は読書かテレビ鑑賞、もしくは寝るというインドア派。座右の銘は「押してだめなら諦めろ」と、消極的な性格であることがうかがえる。
雪ノ下雪乃
1月3日生まれのB型、国際教養科2-Jの女子生徒である。国際教養科は普通科と比較をして偏差値が少々高いことが特徴であり、90%が女子生徒というクラスだ。趣味は一般文芸、英米文学、古典など読書、映画鑑賞、さらに乗馬というアクティブな一面もある。座右の銘は「目には目を、歯には歯を」と、若干の気の強さもうかがえる。長い黒髪とスタイルのよさ、体育を除く全科目が得意でテストでは学年1位であることから、学校一の美少女とも称されるヒロインである。
楽器や運動、家事も得意だが、学校では1人ぼっちであり、平塚先生に勧められるまま奉仕部の部長になる。部活動中は読書をしていることも多い。「パンダのパンさん」と呼ばれるキャラクターが好きだが、恥ずかしさから隠している。猫は好きで犬は非常に苦手だが、負けず嫌いな性格から『苦手なだけ』の一点張りで犬嫌いを認めることはない。また、方向音痴であり、慣れない地域では道に迷うことがある。
由比ヶ浜結衣
6月18日生まれのO型、2-Fの女子生徒であり、クラスでは葉山・三浦のグループにいる。「サブレ」という犬を飼っており、猫は苦手である。趣味はカラオケ、特技もカラオケ、特徴は人の意見に合わせることという、奉仕部の2人と比較をすると協調性があることもうかがえる。座右の銘は「命短し恋せよ乙女」、休日の過ごし方は友達と買い物やカラオケに行く、プリクラを撮るなど、女子高生らしさが詰まったキャラクターである。
材木座義輝
11月23日生まれのAB型、2-Cの男子生徒であり、眼鏡をかけており体格がよく、厨二病であるなど個性が強いキャラクターである。自らを「剣豪将軍」と称し、個性的な性格ゆえに友達がいない。体育でペアを組むことになった比企谷八幡を「相棒」と呼んで慕っている。ライトノベル作家を夢見ており、原稿を見てほしいという理由から奉仕部のメンバーと知り合うことになる。趣味は漫画、ライトノベルを読むこと、ゲーム、アニメ鑑賞、インターネット、休日は執筆と秋葉原巡りをするなど、いわゆるオタクである。
戸塚彩加
5月9日生まれのA型、2-Fの男子生徒である。テニス部に所属しており、外見は女子生徒のようにも見えるため、女子と間違えられることも多い。テニスの練習相手になることをきっかけにして奉仕部と知り合う。由比ヶ浜結衣は昔からの知り合いであるため「さいちゃん」と呼んでいる。趣味は手芸、特技はジグソーパズルとテニス、休日はゆっくりお風呂に入る、散歩をするなど、のんびりとした性格のキャラクターである。
平塚静
誕生日は非公開、A型で趣味はドライブ、ツーリング、格闘技、総武高校の国語教師と生活指導を担当している。誕生日は『聞くな』ともいうが、アラサーであるとささやかれている。奉仕部の顧問でもあり、卒業後に社会に適応しにくいと思われる生徒を奉仕部に入部させているのだ。生徒に対しては親しみやすいラフな口調はあるものの、女性としては少々乱暴な言葉使いをすることが特徴である。しかし、面倒見がよく「スクライド」など熱血系のアニメや少年漫画が好きであり、影響を受けているためか鉄拳制裁を加える場面も多い。
また、ドライブシーンも多く、愛車はイギリス車のアストンマーティン・ヴァンテージである。美人女性教師というキャラクターだが、酒癖も悪くヘビースモーカーなど「残念な美人」というキャラクターが定着している。さらに、ラーメンに関してこだわりが強く、学生時代には千葉市周辺のラーメン屋をほぼ制覇したという武勇伝を持つ。男性のようなキャラクターだが、結婚願望があり婚活パーティーにも積極的に参加をしている。ただし、結婚相手が見つかる気配はない。
比企谷小町
3月3日生まれ、血液型は不明、休日は猫の世話や、1日中自宅にいる兄である比企谷八幡の相手をして過ごしている。趣味と貯金と兄をからかうこと、特技は兄の世話と、兄妹仲がよいことが特徴である。要領がよいため比企谷八幡を利用する場面も多いものの、兄と同じ高校を受験する予定あることからも、兄を慕っていることがうかがえる。
葉山隼人
9月28日生まれのB型、2-Fのりーダーのような存在であり、葉山・三浦グループの中心人物である。ルックスもよく、成績も学年で2位と頭も良い、サッカー部のエースでもあり運動もできる。父は弁護士、母は医者で、裕福な家庭で育ち、性格も優しく完璧なキャラクターである趣味は読書、フットサル、ギター、映画鑑賞、マリンスポーツ、特技はサッカーとギターと、主人公とは正反対のキャラクターとして華を添えている。
三浦優美子
12月12日生まれのB型、2-Fの女子生徒であり、金髪縦ロールが特徴である。『友人の第一条件は見栄え』などという、一見問題がありそうなキャラクターにも見えるが、面倒見がよいなど魅力もあり周囲との関係は良好だ。趣味は買い物とカラオケ、特技はテニスとネイルアートと、お洒落な女子高生である。
相模南
6月28日生まれ、血液型は不明、趣味はなく、休日は近所のコンビニでアルバイトをしているか買い物という、特徴がないようにも思えるキャラクターである。2-Fの女子生徒であり、2番目のカーストのリーダーとして「クラス内の立場=カースト」と考えている。常に他人からどう見られているか気になってしまう性格である。
海老名姫菜
7月14日生まれのAB型、趣味は読書とイラストを描くこと、特技もイラスト描き、得意科目は美術である。休日は友達と過ごしたり、池袋で買い物をしたりと、趣味や特技から想像できるイメージとは異なり、アクティブな一面ものぞかせる。しかし、座右の銘は「ホモが嫌いな女子なんていません」という、少々個性的なキャラクターでもある。
川崎沙希
10月26日生まれ、血液型は不明、趣味は編みぐるみを作ること、特技は空手と、ギャップが魅力のキャラクターである。座右の銘は『はやめな、ボディにしな。ボディに』であり、言動や格好が不良のようであることから、クラスでは1人で過ごしている場面が多い。休日はアルバイトをしたり、妹や弟の相手をしたりするなど面倒見がよい。
雪ノ下陽乃
7月7日生まれ、血液型は不明、雪乃の姉であり、国立理系の大学生である。趣味は読書と、妹と同じ乗馬、休日には思いつきで旅に出るなど、自由奔放なところが魅力。総武高校の卒業生で、平塚先生の元教え子でもある。
一色いろは
4月16日生まれ、血液型は不明、特技はおねだりである。サッカー部のマネージャーでもあり、葉山に好意を寄せている。趣味はお菓子作りと自分磨き、休日は買い物、適当に男子と遊ぶなど、同性の友人は少ないようである。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』の世界
青春は嘘:比企谷八幡
比企谷八幡は『青春とは嘘であり、悪である』と、悲観的なセリフをいう。多くのクラスメイトが楽しく過ごしているのにも関わらず、根底から覆す用語である。うわべだけの関係であることを察しながらも、多くの人は「心でつながっている」と信じているものだ。しかし、それを一言で覆してしまうところが、比企谷八幡らしいとも言えるだろう。
無抵抗以前に無接触:比企谷八幡
比企谷八幡は『ぼっちは平和主義者なのだ。無抵抗以前に無接触。世界史的に考えて超ガンジー』として、ぼっちは他人に関わらないため、他人に迷惑をかけることもないとしている。しかし、関わる人間を楽しませたり、幸せな気持ちにさせたりということもない。納得できる用語ではあるものの、他人と関わることのメリットを言葉で諭すキャラクターがいないことも「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic」らしいと言えるだろう。
排他的であり差別的:比企谷八幡
クラス内でグループができると、ほかのグループと関わることを避けてしまいがちである。新しく人間関係を築くよりも、楽であるということが、最も大きな理由だろう。比企谷八幡も『彼らの仲間意識というのは相当なもので、自分の群れ意外とはあまり話さない。単独行動時に他の群れに交じろうとしない。それを考えると結構排他的であり差別的だ』と表現している。
己一人で証明できないのか:比企谷八幡
同じグループ内で、楽しいことを共有している人に対して『なぜ自分の感じている楽しさを、自分の正しさを、己一人で証明できないのか』という。楽しいことを共有したいという気持ちは、最初に自分が「面白い」と感じていなければ沸かない感情である。つまり、すでに「己一人」で証明しているとも言えるのではないだろうか。
妥協と欺瞞に満ちた態度は不誠実:比企谷八幡
比企谷八幡は『誰かに合わせて答えを出してしまうと、うまくいかなかったときに必ずその誰かのせいにしてしまう。人生の戦犯捜しに躍起になる』として『人の答えに合わせると決めたのは自分のくせに、その他人を恨みに思う。妥協と欺瞞に満ちた態度はきっと不誠実だ』と表現している。自分で選んだ道であるにも関わらず、失敗すると他人を責める人も多いだろう。しかし、他人のせいで失敗するという被害に遭ってしまったのであれば、自分はそうならないようにと努力をするものである。もしくは、自分の思考は間違っていないと言い切り、決して曲げることがないようにすべきであるとも言える。
数ある選択の機会のひとつ:平塚静
顧問である平塚静は、比企谷八幡に対して『将来のすべてを今決める必要はないよ。その気になれば編入も転部も仮面浪人もありだ。転職だってあるしな。これは数ある選択の機会のひとつでしかない』と諭す。すべてが、一瞬で決まるわけでもなく、決められるわけでもないだろう。しかし、世間では許さないこともある。1度社会のレールから外れると、元に戻ることが難しいためだ。また、1度でもレールから外れることをよく思わないという空気もある。場合によっては、きれいごとではなく「今決めてべき」と諭す必要もあるのだ。相手の性格や人間性を見極めて諭さなければ、人生を変えてしまう可能性もある危険なワードである。
学校は牢獄:比企谷八幡
比企谷八幡は、ねたむようにして『思春期の監視社会において、学校は牢獄そのもの』という。『人気者たちは常に衆目にさらされ、その他大勢は頼まれてもいないのに、善意や興味本位から監視を始める。そして、時に罰すら与えるのだ』として、人気者の苦しみや辛さを客観的に表現している。
数的暴力:比企谷八幡
比企谷八幡は『衆愚という言葉があるように、人は群れを為すほどにその愚かさを増す。そのなかに放り込まれれば、いかに突出した人間も、否、突出した者こそ数的暴力によって塗り潰されるだろう』として「出る杭は打たれる」を表現している。人が群れをなすと、優秀な人間が平均とされるものである。比企谷八幡が集団を嫌う理由が垣間見える。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。@comic』の感想・評価
とても良い
紅茶 さん(10代/男性/学生/独身)
ラビット さん(30代/男性/正社員/独身)
マルチビタミン さん(20代/男性/個人事業主/独身)
LIME さん(30代/男性/経営者/独身)
若菜 さん(30代/女性/専業主婦(主夫)/既婚)
良い
ぽんた さん(40代/女性/専業主婦(主夫)/既婚)
元漫画家志望 さん(20代/男性/正社員/独身)
こいきんぐ さん(10代/女性/パート・アルバイト/独身)
ふつう
しーらかんすう さん(30代/女性/正社員/既婚)
めれおた さん(50代/男性/無職/独身)
ティモシー さん(50代/女性/個人事業主/既婚)
悪い
まゆみチャン さん(30代/女性/公務員/独身)
ヤンマガ さん(40代/男性/正社員/既婚)
【アンケート概要】
■調査地域:全国
■調査対象:年齢不問・男女
■調査期間:2019年02月18日~2019年03月18日