漫画『書生葛木信二郎の日常』の感想・無料試し読み

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『書生葛木信二郎の日常』とは

書生葛城信二郎の日常は、倉田三ノ路作、小学館のサンデーGXに掲載された日本の漫画作品である。カテゴリーは少年コミック、ジャンルはファンタジーに分類される。本作は、倉田三ノ路氏のデビュー作となり、単行本は全8巻である。書生という言葉は、もともと明治・大正期に他家に下宿して家事雑事を手伝いながら勉強しているものを指す言葉。本作の主人公は小説家で身を立てることを夢見ている。

『書生葛木信二郎の日常』のあらすじ・魅力

作者倉田三ノ路氏のデビュー作となった『書生葛木信二郎の日常』。時は大正、舞台は帝都東京です。この時代、大日本帝国だったことからその首都は帝都東京と呼ばれたそうです。その東京の一角に何故か人の目に留まることのない洋館・黒髭荘がありました。そこは、本作の主人公、小説家志望の書生葛木信二郎以外のすべての住人が妖怪という不思議な館なのでした。管理人の尋ちゃん、信二郎と一緒に上京してきた妖怪の「ちま」を中心に一風変わった信二郎の日常の始まりです。妖怪の種類も日本古来のお狐や化け狸、一反もめん、火を噴く希少種の妖怪、はたまた香港映画で懐かしいキョンシーも登場するなど楽しさ満載です。

本作に登場するのがほとんど妖怪であることや、カテゴリーの違いもあるので一概に比較はできないものの、1980年代に大ヒットした『めぞん一刻』のようなラブコメディ的な要素も盛り込まれ、ただの妖怪話だけではないのも特徴です。

『書生葛木信二郎の日常』の印象的なエピソード

第1巻第5話の1:横浜にて

ある日、これまで海を見たことがなかった尋ちゃんのために、横浜に出かけることになった信二郎とちまと尋ちゃん。横浜は幕末に結ばれた日米修好通商条約によって開かれたのでした。また、明治5年には新橋から横浜へ日本初となる鉄道が開通し、その後、大正に向けて異文化発祥の地として急速に発展するのでした。さて、横浜についた一行ですが、初めて見る海や汽船に大はしゃぎの尋ちゃんです。あまり離れすぎるなよと声をかけながらも、信二郎は別方向に人だかりがあるのが気になります。そこでは、3人組が立ち回りのショーをやっていました。

面白さに魅入る信二郎でしたが、支那そばの良い匂いに引き寄せられた尋ちゃんに急かされてその場を離れます。支那そばに舌鼓をうった2人でしたが、そこへショーを終えた先ほどの3人組が入ってきます。『さっきはありがとう。』と声をかけるメンバー。『最近まではもう1人いたけど、今は3人だから短いショーしか見せられなくて』と挨拶の握手をしながら、おもむろに『ところでこれ何?』と、ちまを掴み取るメンバー。同時に尋ちゃんが普通の人間ではなく、何か山の獣みたいな匂いがすることもわかると告白します。

慌てて席を立とうとする信二郎でしたが、人目のつかないところで悩みを聞いてほしいと懇願され、受け入れてしまいました。彼(実際は女の子)の名前は、李明夏(リーミンシア)。訳あって男の子の格好をしているようです。彼は続けます。『死体を探してほしい。それも動く死体、キョンシーを』。

第1巻第5話の2:愛深き故に

李明夏君の兄が、この街で亡くなりました。酔って転んで頭を打ったのが死因です。華僑であった彼らは、横浜に華僑のための墓もあったことから故郷のやり方に習ってお兄さんを弔ったのです。ところが埋葬を手伝ってくれた彼の友人が『埋めたはずの死体が夜中に町中を動き回っている』と教えてくれました。どうにかして人より早く兄を見つけ出したい李君です。しかし、道士でもない彼が1人で探し出すのは至難の業です。そこで、たまたま出会った信二郎達に助けを求めたのでした。

李君は言います。『君達は人にならざるもの。そして人にならざるものが見える人だ』と。一旦、李君と別れた信二郎と尋ちゃん。本当に僕らで役に立つのかなどと相談しているところへ、突然男性らしき人影が立ちます。動きに違和感を覚えた2人。『ねぇ尋ちゃん。キョンシーの特徴ってどんなだった?』『えーと、死後硬直が始まっているので動きが不自然で、爪が伸びて牙が生えて…襲ってきます!』と同時に襲いかかってきたキョンシー。慌てて逃げる2人。

信二郎はキョンシーを自分に引き寄せ、尋ちゃんを逃し、李君を呼びに行かせます。応戦したい信二郎は、ちまを変身させ火炎攻撃を仕掛けます。それを嫌がるキョンシー。そこへ到着した李君が『やっぱり兄さんだ!』と叫び『一緒に逃げよう。2人だけなら逃げ切れる』と誘います。しかし、理性を失って李君の言葉がわからないのか、キョンシーこと兄の明春は李君を投げ飛ばしてしまいます。続けて現れた叔父さんが投げたナイフがキョンシーの目を直撃し、キョンシーは逃亡、李君は危うく難を逃れます。

衣服がはだけたことで、李君が女の子であることが判明しました。李君の手当てをしながら、何故男の子の格好をするのか、お兄さんとの関係などを聞きました。尋ちゃんは一定の理解をしながらも、何故彼はキョンシーになってしまったのだろう?そうせざるを得ない強い理由があったのだろうかと疑念を抱きます。一方、寝室で休もうとする李明夏の元へ仲間である欽雲が見舞いに訪ねてきます。ところが突然、明春が死んでからも明夏の心を独り占めにして彼はずるいと言い始めます。自分の方が小さい頃から明夏を見ていたのにとも。彼女を押し倒し我が物にしようとする欽雲。邪魔されそうになった明春を自分が殺したと衝撃の告白をします。

そこへキョンシーこと明春が2階から窓を破って侵入してきます。欽雲に襲いかかるキョンシー。助けようとする信二郎や叔父さんを制して、李明夏が全てを告白するのでした。どんな姿形であっても生きていてほしいという、李君の言葉に少し反応してその場から逃げるキョンシー。『このままでは人の心をなくして器だけになってしまうから、殺すんじゃなくて終わらせましょう』と語りかける尋ちゃん。明春を見つけた信二郎達。紅焔鬼のちまは火を操ることができます。『ちまなら終わらせることができる』と言って、李君とちまを明春の元へ行かせました。必死に泣きながら何かを伝えようとする明夏。それを制し『泣くな、お前は笑っているのが一番良い。俺もお前を愛している』と言い、おそらくは最後まで残った理性を振り絞って炎に包まれていく明春でした。

第2巻第7話:兄貴

いつもと変わらぬ日常が過ぎていきます。最近小説を書くことに集中できている様子の信二郎。ちまも部屋から追い出し、髭も剃らずに集中している彼でした。そんな彼の元に意外な人物から手紙が届きます。差出人の名前を見た瞬間、慌てて自分はしばらく姿を隠すと尋ちゃんに告げ、出かける準備をする信二郎でしたが、時すでに遅し。その人物とは、兄の悌一郎でした。驚きながらも嬉しくなさそうな信二郎。5年も連絡をよこさなかったことや、突然亜米利加から帰国したことで不信感をあらわにすると書きかけの小説があると自室にこもってしまいました。

過去、兄の行動によって散々な目に遭わされた信二郎。尋ちゃんの問いかけに対して、別に兄が嫌いなわけではないと複雑な心境を吐露するのでした。5年ぶりの再会なのにこういうのは良くない思案する尋ちゃん。一肌脱ぐ決意をします。本郷のホテルに信二郎の姿に変身して会いに行った彼女。勢いで来たもののどう切り出したらよいか迷うのでした。しかし、悌一郎のほうから両親が消えたあとにいきなり消えてしまいすまなかったと謝罪がありました。

そのあとで彼は嘘をついて話をそらし『機嫌が悪いときにはこうやって慰めたなぁ』と信二郎の(変身した尋ちゃんの)身体を触ります。信二郎さんのために我慢と言い聞かせていた尋ちゃんでしたが、ついに我慢できずに悌一郎にアッパーを食らわしてそそくさとその場を去るのでした。やられた悌一郎もわかっていたような素振りでしたが。反省した尋ちゃん。

しかし、謝罪があった部分は本当だろうとこれを信二郎に伝えるため今度は悌一郎に変身します。そして、機嫌の悪そうな信二郎に再び謝罪するのでした。その真剣さに一瞬態度を軟化させる信二郎。続けて何か言おうとする信二郎に対し、尋ちゃんは、機嫌が悪いときはボディータッチが効果的と仕入れた情報を元に実践しようとします。しかし、いつも尋ちゃんが淹れてくれるコーヒの匂いで見破られる彼女。その後の会話で、ボディータッチのことも兄の嘘であることが判明。ただ冷静になった信二郎は自ら兄に会いに行き、久しぶりに穏やかな気持ちで会話するのでした。

第5巻第27話:鬼と交わす約束前編

岩手県のとある山中。吹雪で道に迷ったヨシヱと吾郎姉弟を、縄張りに入ったものは喰うと威嚇する羅刹鬼。何とか弟だけでも助けてほしいと懇願する姉の言葉に『今は助けてやる。でも10年後に喰いに行くぞ』と宣言する羅刹鬼でした。そして場面は変わり、10年後です。ある出版社でようやく小説の掲載が決まった信二郎。その出版社に勤めているのが10年前羅刹鬼に命を救われたヨシヱでした。肩の上に何かたくさん乗っているのが見える信二郎。自ら『家鳴』と名乗ります。小さな鬼みたいな姿です。

数日後、出版社で再びヨシヱと会った信二郎は、彼女の肩に家鳴がいないことに気づきます。でも理由はわからないとのこと。少し体調も悪いというヨシヱの背後の妖気に、反応して肌がかぶれた信二郎。物陰から声をかけてきた家鳴。何か別の妖怪がいそうですが、家鳴の説明が要領を得ません。ヨシヱとやりとりをしている刹那、背後から襲いかかる羅刹鬼がいました。ちまがヨシヱを助けようと襲いかかるが、左足で蹴り飛ばされて一瞬で勝負がつきます。信二郎も殴られて意識を失ったようでした。

第5巻第28話:鬼と交わす約束後編

自室で目が覚めた信二郎は、こうしてはいられぬと尋ちゃんの制止を振り切って、ヨシヱの所に走り出します。もうやられていると思っていたヨシヱは、意外にも羅刹鬼と一緒にいました。いろいろと羅刹鬼に質問する信二郎でしたが、羅刹鬼はそれには答えず外の見張りを命じます。これほどの鬼が警戒するということは、よほどの強敵が来るのだろうと信二郎は考えました。そこへ、羅刹鬼が短く『鬼だ。奴は陰摩羅鬼という怪鳥で故郷を離れたヨシヱを喰いに来る』と告げます。

外で見張りをする信二郎でしたが、すぐに陰摩羅鬼が現れて、家の中に突撃して羅刹鬼との戦闘状態に入りました。互角の戦いをする2人。羅刹鬼は携えている剣で、陰摩羅鬼はその大きな爪でお互いを攻撃します。ちまが紅焔鬼に化身して炎を陰摩羅鬼に浴びせます。一瞬怯むもすぐに爪で紅焔鬼を捕えとどめを刺そうとしました。それを見た羅刹鬼は、爪ごと剣で叩き切り紅焔鬼を救うのでした。一進一退の攻防でしたが蹴り倒された羅刹鬼が劣勢に立たされます。

『今すぐ娘を喰わねばお前は死ぬぞ』と凄む陰摩羅鬼。信二郎同様どこまでも人のよいヨシヱは、どうか私を食べてほしいと懇願します。しかし『こんな痩せた小娘1人喰ったところで腹の足しにもならない』と拒否したうえに『もっと太ってから喰ってやる。獲物を横取りされるくらいなら刺し違えてもお前を道ずれにしてやる』と言い放つ羅刹鬼でした。呆れた陰摩羅鬼は付き合いきれないと1人去っていきます。こうして戦いは終わりました。

戦いの最中、羅刹鬼はこの10年のことを思い出していました。このように妖を引き寄せる体質であれば、10年持たず他の妖に喰われてしまうのではないか?10年は私が守らねば。そう決意して実際ヨシヱを守っていくうちに、情が移ったようです。泣きじゃくるヨシヱの涙をそっと拭って、羅刹鬼は静かに消えていきました。その刹那、浮かべた笑顔をヨシヱは見たのかどうかはわからないけど、これからも羅刹鬼が守ってくれるような気がして強く生きねばと決意するのでした。

第7巻37話:赤ん坊がやってきた

いつもと変わらぬ日常でもない。何か違和感を覚えます。駆け出しの小説家としてその一歩を踏み出した信二郎ですが、なかなかスムーズに筆が進まず日々原稿用紙を前に頭を悩ますのでした。そんななか、やたらとほかの部屋から物音や子供の声がします。少し注意をしようと部屋を出た信二郎は、そこに居るはずのない赤ん坊を見つけて驚きます。少し質問をするだけで泣き出したので、すかさず抱っこするものの突然重くなるし、いきなり殴られるし、訳がわかりません。

とりあえず大鯰さんがいたら相談できるということで待つことにしたものの、1つ問題がありました。それは授乳の問題です。小さな子供なので当たり前ですが、もらい乳のアテもなくオムツとかそういう問題も出てきそうなので商店街のよくいくお店で相談しようということなりました。商店街を歩いていると、サマラくんとばったり出会ってしまいます。いつの間に?と驚きの表情と同時に妄想に入るサマラくん。ほどなくして誤解が解けた一行は、当時出始めだった粉ミルクで授乳の問題を解決したのでした。

結局黒髭荘まで付き合ったサラマくん。意外と優しい一面を見せます。そのあと、信二郎が子供と遊んだり、尋ちゃん達とお風呂に入ったりして楽しい時間を過ごしたのでした。そうこうしているうちに大鯰さん達が帰宅します。とここで驚くべき事態に発展します。『早う熱燗の一杯でもやりたいと思っていた所じゃわ。道すがら別嬪をひっかけたら黒髭荘に向かうもんだからそのまま邪魔しとったわ』などと子供が話し始めたのです。驚く一同を尻目に『わしゃ児啼爺と申す。黙って悪かったな』と挨拶する子泣きじじいでした。

第8巻第47話:夢の終わり

洞窟のようなところで目が覚めたサラマ。記憶が定かではなく、突然地鳴りとともに大地が揺れたことを思い出しました。それは泰山府君祭が原因だとしたら、ここは黄泉の国でもう私は死んでいるのかもしれないと思いを巡らせます。お祖父様を止められず、悌一郎さんを救えず、信二郎に謝ることもできなかったと後悔の念から涙が溢れでます。しかし、そこへひょっこり信二郎が顔をのぞかせます。意識は戻っていないけど悌一郎も無事で、ばあちゃんも一ツ目が助けてくれたことを伝える信二郎。

サラマも『無事でよかった』と言うか言わないかくらいのタイミングで信二郎に抱きつきます。本当に怖かったようです。先にサラマに洞窟を出るように促す信二郎。自分はカルマを探すと伝えます。そのとき、信二郎を行かせまいと足首を掴む、公朋の姿がありました。もう少しで自らの野望実現ができると執念を燃やす公朋。しかしそこで、洞窟の一部が崩落して、公朋は再びそこへ落ちるのでした。一瞬、このまま見捨てて行こうか?信二郎はそう思ってもおかしくはありません。でも最後まで彼はやはり信二郎でした。

公朋に対してあなたを許したわけではないこと。信二郎の両親に手をかけ、兄を連れ去り、己の願望のために自分の孫まで殺そうとしました。それでも公朋の今借りている身体はカルマ君のもので、彼を死なせたくないと伝えます。『葛木の連中はどいつもこいつもお前に似ている。』その言葉とともに改心したのか、公朋は信二郎の脱出に力を貸し『2人を頼む。』その言葉と共にカルマ君の身体から抜け出て行きました。無事洞窟から出た一行ですが、地震の規模の大きさと東京方面に立つ黒雲に悪い予感を抱きつつ帰路につくのでした。

第8巻第48話:最終回:新しい日常

朧車に黒髭荘に向かうように指示する信二郎ですが、さすがの朧車でも炎と煙がすごくて上からでは近づけないことを知ります。せっかく生きて戻ったのに危険だから行かないでと懇願するサマラですが『守りたい人があそこに居るんだ、そのためにはどうなっても構わない』と信二郎は飛び出していきます。道無き道を進む信二郎。『昨日まであった道がない、昨日まであった日常がなくなっている。これが東京なのか?』頭では理解できません。『頼む。黒髭荘は無事であってくれ』住民のみんなの安否を気遣いながら、急ぐ信二郎でした。

しかしそこで見たものは大災害です。大正12年9月1日午前11時58分、相模湾沖を震源とした地震災害は、東京・神奈川を中心に甚大な被害を及ぼし、災害史上最大のものとなりました。黒髭荘にいた尋ちゃんをはじめとする住民達の安否も分からぬまま、つらく苦しい毎日が過ぎていきます。信二郎やケガの癒えたばかりの悌一郎も毎日のように仲間を探し回ります。もちろん、黒髭荘跡にも何度となく足を運びます。もしかしたらなんらかのメッセージがあるかもと、淡い期待を抱きながら。

なかなか結果が出なかったある日、配給などの手配をしている男性が、ここの住民の避難先情報を持ってきてくれて、事態は一気に良い方向へ動きます。慌てて会いに行く信二郎たち。愛する人達と涙の再会となったのでした。ケガをしたものも多かったけどほとんど全員無事でした。すべてのことは変化し続けます。変化し続けることこそが、唯一変わらないことです。安らかな日常も苦しい逆境のなかでも、時は等しく止まらず廻り続けるのです。

そんななか、兄の悌一郎と操緒さんが震災から半年が過ぎたある冬の日、黒髭荘跡に建てたバラックで祝言を挙げました。兄達はこのあと満州に行くといいます。サラマ達は英国へ帰国するというし、大鯰さんはまたここに黒髭荘を建てることを目標とします。妖の住処をなくさぬことが使命だと認識しているようです。サラマは信二郎のことが好きだったので、心の整理をつける意味でも一旦距離を置きたかったのでしょう。さて主人公の二人ですが、兄の悌一郎に満州に誘われた信二郎にどうするのですかと問う尋ちゃん。信二郎は東京でやり残したことがあるので、残るといいます。『小説でまだ書きたいことがあるし、何よりも尋ちゃんと一緒にいたい』と初めてしっかりと伝えることができました。

街が変わり人も変わっても、この洋館は人の記憶にとどまることなくひっそりと残っていくのでしょう。そして場面は変わり、時は現代へ。再興された黒髭荘へ新しい住人がやってきます。彼の名前は、葛木孝弘君。その肩にはちまが乗っています。ひいおじいさん?とかちまが見えるの?とか色々整理したいことはあるものの『とりあえずその辺はゆっくりと』と大人になった尋ちゃんが言いますから仕方がありません。『ようこそ黒髭荘へ!』中には大鯰さんほか住民の皆さんも元気そうでした。

『書生葛木信二郎の日常』の登場人物

葛木信二郎

小説家を目指して上京してきた青年。妖怪が見えるという巫女であった祖母の能力を受け継いでいる。また、強い妖気に当たると肌がかぶれる。ちまという妖怪と一緒に住んでいる。兄の悌一郎には散々振り回されており、兄のことを嫌いではないものの、同じ目に遭ってたまるかと心を閉ざしている節があった。後で和解する。この物語では数少ない人間である。

葛木悌一郎

信二郎の兄。操緒という許嫁がいるにもかかわらず、地元からいきなり置き手紙で行方をくらましたり、いきなり信二郎を訪ねてきたりかなり自由な人である。

尋ちゃん

黒髭荘の管理人。人間の姿をしているが、本当はタヌキである。色んな人間に化けることができる。すごく思いやりがあって、一方で心配性でもある。主人公の信二郎との仲が気になるところである。

天邪鬼

華子からはあまちゃんと呼ばれている。口は悪いがなかなか男気がある。その一方で寂しがり屋の一面もある。

五十嵐さん

何故五十嵐さんかは不明だが、蝙蝠の妖怪である。全く怖くないし実際強くない。シャンデリアの上が住処のようだ。高尾の山中に産まれ、天狗の十郎坊に人語や妖術の修行を受けたことがある。

キョンシー

昔から映画でもシリーズ化されており有名な妖怪である。中国の死体妖怪とでも呼べばよいだろうか?硬直した死体だが長い年月を経ても腐敗することがない。本作のキョンシーは硬直のため動きがぎこちなく、牙が生え、爪が伸びていた。

李明夏

リーシンシアと読む。華僑の人。男の子のように振る舞うが実際は女の子である。信二郎と同じようにちまが見えたり、尋ちゃんが人間でないことを見抜いたりするなど異質の力を当初から発揮していた。

操緒

主人公信二郎の兄、悌一郎の許嫁。登場の時期は兄に捨てられたような感じで不幸の色を出していたが、黒髭荘で悌一郎を待つために住み始めてからは、面白いキャラを出している。猫の妖怪である。人間でいられる時間には限界があるようだ。最終的に悌一郎と結ばれて幸せをつかむ。

ちま

紅焔鬼。炎を噴く希少種の妖怪である。希少種というより最期の一匹と言われる。体は大きくないが戦闘力は高そうである。戦うときはこの姿になり、普段はちまと呼ばれるかわいいお人形さんみたいな格好をしている。信二郎の故郷で、トンネル工事用の発破が誤って爆発。元々親子で住んでいたが親が死んで最後の一匹になった。その後は優しい信二郎とその家族とともに幸せな生活を送る。

窮鬼

きゅうきと読む。葉っぱの妖怪である。人の運気を食って生きている。普段は2日~3日憑いて運気を吸収したら去っていくのだが、主人公信二郎の周りが妖だらけで居心地が良かったらしい。また、信二郎本人も運が良くメシが美味いとのコメントあり。

羅刹鬼

岩手県の山中で、吹雪の中道に迷った姉弟を食べようとしたが、姉のヨシヱの懇願により10年待つことにした。ヨシヱはそのことを思い出としてしか記憶にとどめていなかったが、その後も羅刹鬼は妖を近くに寄せてしまう体質のヨシヱの将来を案じ、10年間守り続けたのであった。そうこうしているうちに人間に情が移ってしまったらしく、鬼としての本性との葛藤もあったようだが、最終的にもう一匹の鬼からヨシヱを守って死んでいくのであった。剣を使い、戦闘力が非常に高そうである。

陰摩羅鬼

前述のヨシヱ姉弟が吹雪の中遭難した際、羅刹鬼と一緒にいたもう一匹の鬼である。大きな爪と空を飛べる羽を持ち、怪鳥とも呼ばれている。羅刹鬼のように人間に情が移ることもなく、ただ喰いものとしてしか認識していない様子であった。10年間手を出さなかったのは、羅刹鬼との関係によるものなのかは不明である。岩手から東京まで飛んでくるので、長距離移動ができそうである。また、羅刹鬼に負けず劣らず戦闘力は高く、大きな爪を武器に戦った。最後は羅刹鬼にその爪を切られ、人間を守ろうとする羅刹鬼に付き合っていられないと捨て台詞を残し去っていった。

『書生葛木信二郎の日常』の世界

妖怪

本作では一文字で妖(あやかし)とも表示している。そのほか、物の怪(もののけ)や魔物とも呼ばれる。妖怪で有名なのはゲゲゲの鬼太郎や妖怪ウオッチだと思うが、そのほかに、もののけ姫や妖怪人間ベムなど妖怪を題材にしている小説や漫画、アニメなどたくさんある。登場する種類は多岐に及び狐や猫、犬や狸など実際にいる生物の妖怪もいれば、天狗や河童、一反もめんなど架空の生き物もいるようだ。本作に登場しただけでも天邪鬼、蝙蝠の妖怪、雪女、2種類の鬼、キョンシー、窮鬼、犬神、橋姫などバラエティに富んでいる。

日本の三大妖怪として名高いのが、鬼、天狗、河童である。本作では河童だけが出なかった。また、本作で沖縄の妖怪としてキジムナーが出てきたが樹木(特にカジュマル)の精霊とされる。主人公信二郎の妖怪が見えるという能力も、イタコやユタと言われるいわゆる霊能力者の中では、ごくごく普通にあるようである。

大正時代

本作は、大正時代の話である。大正時代とは明治の後、昭和の前の期間である。大正天皇が在位した期間は、1912年(明治45年/大正元年)7月30日から1926年(大正15年/昭和元年)12月25日までの14年間である。この大正時代は日本史で一番短い時代区分である。しかし一方で、この短い15年のあいだに日本史に残るさまざまな出来事が発生し、それが日本の歴史を変えてきたことも事実である。たとえば、人類最初の世界大戦である第一次世界大戦。民主主義へ歩みだす大正デモクラシー。関東地方を襲った関東大震災。ほかにも、女性による社会運動や社会進出が活発化したり、ファッション・食事はより現代風になったりした。また、多様な芸術も次々と誕生した。

関東大震災

1923年(大正12年)9月1日11時58分、東京、神奈川を中心とした関東一帯をマグニチュード7.9の巨大地震が襲った。日本史上最大級の地震災害である。各地に隆起や逆に沈下も見られ、いたるところで山崩れや地割れが発生した。被害は関東だけにとどまらず静岡や山梨にも及んだ。死者・行方不明者は10万5,000余。昼食時で火を使用している時間帯でもあったため、あちこちで火災が発生したという。被災総額は55億から100億余に達した。時の内閣は、経済の破綻を防ぐべく、考え得るあらゆる手段を講じたが震災恐慌は避けられなかった。また、震災直後の混乱と不安のなかで亀戸事件や甘粕事件が起き、官憲、自衛団による朝鮮人虐殺事件も起こったとされる。悲しい歴史の1ページである。

小説家

若者の活字離れといわれて久しいが、未なお小説家になりたい人が世の中にはごまんと居るらしい。本作の主人公信二郎氏も小説家志望である。一昔前と違い、web上での投稿サイトも豊富であるし、書店に行くとそういう類の本が置いてある。また、いわゆるハウツー本といわれる「どうすれば小説家になれるのか」「小説家になるには」といった本が数多く出回っている。

純粋に小説だけを書いて食べていける人というのは、本当に上位数%しかいないと聞く。ほとんどは兼業で、サラリーマンをやりながらだったり、講演会活動や小説以外の著述で生計を維持していたりする方も多いようである。そういう意味で、本作の信二郎氏は果たしてどうなのだろうかと老婆心ながら心配になってしまった。また、政治家を引退されたが石原慎太郎氏のように小説家として広く認知され、固定したファンがいながら生業としてほかに仕事を持ったいわゆる兼業作家も数多く存在する。ジャンルとしては、大きく分けて一般的な小説家、ホラー作家、官能小説家、ライトノベル作家が良く知られるところ。ほかにも、ファンタジー作家、歴史小説作家、SF小説作家、推理小説作家などがある。また、文学作家の中でも大家・大作家のことを特に文豪と呼ぶこともある。

『書生葛木信二郎の日常』の感想・評価

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感想・評価にはネタバレが含まれる可能性がございます、ご注意ください。

とても良い

異界の住人と人間の切ない恋。ストーリー的には目新しく感じませんが、何故かひきつけられます。絵が感情をうまく表しているから?

 うなぎいぬ さん(60代/男性/無職/独身)

大正ロマンと妖怪のコンビネーションでオカルトチックな作品と思ったが、コミカルな部分もありストーリーに入り込めました。

 ケロロ さん(40代/男性/専業主婦(主夫)/既婚)

和風な感じが好みでした。管理人さんもかわいい。妖怪と人間の物語で、妖怪にも人間と同じように気持ちがあるんだということが描かれている、温かい物語でした。

 おみそ さん(20代/女性/個人事業主/独身)

なんとなく読み始めたのですが、思っていたよりも中身がしっかりしていて惹き込まれました。幸せは人によって違うということや、どんなものにも心があるということを教えてもらえる漫画です。

 AyuAyu さん(30代/女性/個人事業主/独身)

メガネの書生さんが、あやかしを退治していくストーリーです。下宿には美人の管理人さんと、書生の使い魔?式神?らしき不思議な生物も。いわゆる退魔モノですが、メガネ男子、書生男子好きなら文句なしにハマると思います!

 ぷらこ さん(40代/女性/個人事業主/独身)

良い

書評で気になっていて読んでみたくなったんですけど、大正解でした。舞台が大正期の東京、そして妖怪もの、私の好きな要素が詰まってました!ちまちゃんかわかわわ。妖怪ものに目がない方は是非ご一読ください。

 Kazuhiro- さん(30代/男性/個人事業主/既婚)

内容的にも絵的にも好みです。面白い。テレビアニメで見てみたいです。一話でもいいのでドラマ化してほししと個人的には思いました。

 あいす さん(40代/女性/専業主婦(主夫)/既婚)

メガネの書生さんが、あやかしを退治していくストーリーです。下宿には美人の管理人さんと、書生の使い魔?式神?らしき不思議な生物も。いわゆる退魔モノですが、メガネ男子、書生男子好きなら文句なしにハマると思います!

 ぷらこ さん(40代/女性/個人事業主/独身)

ふつう

憑物を取り除くという内容が想像と違いましたが、主人公と周囲が解決していくストーリーは気にいりました。
 ゆらゆら さん(30代/男性/個人事業主/既婚)
明治から大正にかけてだと思いますが、いまひとつ時代背景がはっきりしません。その辺りの時代物と割り切って読むと面白いと思います。主人公だけが人間という環境で起こる事件の数々を解決していく、1話完結物です。妖怪が関係しているので、謎解きはそれほど難しくありません。人情味ある妖怪たちと主人公の掛け合いが楽しいです。

 まっとうくじら さん(40代/女性/正社員/既婚)

時は大正。小説家志望の書生・葛木信二郎は黒髭荘に暮らしている。彼以外の住人はすべて妖怪。管理人の尋と共にちょっと変わった日常を過ごしたり、不思議な事件を解決したり…。とにかく尋ちゃんがかわいい。

 みるる さん(20代/女性/正社員/独身)

悪い

主人公や取り巻くキャラクターが平凡で引き込まれない。

 tid さん(30代/男性/公務員/独身)

【アンケート概要】
■調査地域:全国
■調査対象:年齢不問・男女
■調査期間:2019年01月18日~2019年02月18日

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