失われた青春に再びめぐり会える名作「潔く柔く」

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大人になった誰もが一度は、「今の中身で学生時代をやり直したらもっとうまく立ち回れるのに」と想像したことがあるのではないでしょうか。今も胸の奥に残っている青春時代のほろ苦い後悔や不器用なやり取りが、「潔く柔く」の中にはこれでもかと詰まっています。あるトラウマを抱えたヒロインの高校時代から社会人までの成長が、全13巻を通して複雑に交錯するさまざまな登場人物の視点からオムニバス形式で描かれています。いくえみ綾ファンの中でも圧倒的な人気を誇る本作は、第33回講談社漫画賞(少女部門)を受賞。男女問わずおすすめしたい名作です。

「ザ・少女漫画的な作品」が苦手だった私がハマったいくえみ綾

「潔く柔く」に出会ったのはちょうど社会人になったばかりの頃でしたが、もともと大のいくえみ綾ファンだった私は、中学生時代から「I LOVE HER」や、「バラ色の明日」などを愛読してきました。もともと「ザ・少女漫画的な作品」が苦手だった私がいくえみ綾の作品に夢中になった理由は3つです。まず、「圧倒的な絵のうまさ」、「女性だけでなく男性も主人公になる中性的な世界観」、「卓越した人物描写力」です。いくえみ綾の中でも、もっとも長く連載された作品である「潔く柔く」は、さらに「素晴らしい構成力」で読者を唸らせます。

断片的なピースとピースがつながり、やがて1枚の壮大な絵に

数々のいくえみ綾作品の中でも、私がダントツでこの作品を支持する理由は、緻密に練り上げられた素晴らしい構成力です。ヒロインの高校時代から社会人までと7年もの長い時間を、あえて、ほとんどをヒロインの目線ではなく多様な登場人物たちの視点を通して立体的に描いています。登場人物は性別や世代もさまざまで、ヒロインと直接的に関わる登場人物もいれば間接的なパターンもあります。

しかし、通常であれば単なる脇役にしか過ぎない彼らを主人公に据えたオムニバスを読み進めていくことで全員の意外な関係性が徐々に明らかに。最初は断片的なピースに過ぎなかったそれぞれのストーリーがつながり、やがて1枚の壮大な絵として完成していく過程には矛盾や不自然さもありません。各オムニバスに、置き土産のように描かれている伏線の張られ方も見事です。ここまで練りこまれた構成はなかなか真似できるものではないでしょう。

しかも、いくえみ綾のすごさは、性別や個性も多様な登場人物の心情もきちんと丁寧に描写していることです。ヒロインに対する感情もそれぞれで異なるのでよりヒロインの人物像に深みが出るほか、読者が感情移入できる人物が見つけやすいのも本作をおすすする理由のひとつです。多数の登場人物の世界観から成るストーリーのため、ひとつの作品なのにまるでいくつもの漫画を読んだような満足感が味わえるのが「潔く柔く」の醍醐味といえます。

お気に入りのシーン大学生編のカンナと百加に真の友情が芽生える場面【ネタバレあり】

名シーンが多いため絞り込むのが難しいですが、もっとも好きなシーンを決めるとしたら大学生編のヒロインのカンナと友人の百加が本音でケンカしあう場面です。美少女のカンナは学生時代からとてもモテてきました。しかし、自分の軽率な行動によって自分に好意を寄せてくれていた幼なじみのハルタが交通事故に遭い死んでしまった日を境に、周囲に対して心を閉ざして生きています。大学生になったカンナが友達になるのが最初の授業で隣の席になった百加でした。明るくサバサバした性格の百加は男女問わず友達が多いものの、カンナとは真逆のいわゆる非モテ系女子。高校時代から片思いをしている中西がカンナを好きなことに気づいて以来、表面的には仲良くしつつも心の底ではカンナに対して激しい嫉妬を抱くようになります。

中西の片思いに協力しながらも本心では2人の交際を阻止したい百加はカンナと常に行動を共にすることで、2人を自分の目の届く範囲に置こうと画策します。そんな自分に自己嫌悪を感じつつ、中西に気がないのにもかかわらずはっきりとその誘いを断らないカンナの態度にも次第にいら立ちを隠せなくなります。そして、相変わらずどんなに一緒にいても決して心の奥底を見せず、過去についても語ろうとしないカンナ。ある日、中西への思いもありついに感情が爆発した百加はついに『邪魔なのよ、消えて、大嫌い』と口走ってしまうのです。

いくえみ綾は、女性特有の表面的な関係の下に隠されているドロドロとした黒い感情や言葉にできない葛藤を描くのが実にうまいです。自身の発言によってずっと前からカンナが自分の嫉妬心に気づいていたことを知った百加は激しく後悔します。後日カンナに謝りにいく不器用な姿も含め、純粋で必死で百加は本当にどこにでもいそうな女の子です。だからこそ共感を誘い、自分事のように応援したくなります。カンナの家でこれまでの思いをすべて素直に打ち明けた百加。純粋でまっすぐな百加の姿勢に打たれたカンナもやがて、今まで誰にも話すことのなかったハルタの話を吐露していきます。表面的な関係の殻を破り、女性同士の真の友情が芽生えた瞬間が描かれるシーンは何度読み返しても心に刺さります。

青春時代の「ほろ苦さ」や「不器用さ」を思い出したい人におすすめ【ネタバレあり】

「潔く柔く」は、社会人になったヒロインの話を中心に長澤まさみと岡田将生のW主演で2013年に映画化もされました。しかし、約2時間という尺では描き切れない、もどかしさやじれったい感じこそが原作の素晴らしさではないかと思うのです。いくえみ綾が描くいずれの登場人物が魅力的なのは、いずれも非常に人間臭く、決して聖人君子ではないからです。特に、過去への後悔をテーマにした青春群像劇である本作はその要素が強いといえます。どの主人公も未熟さゆえのぶっきらぼうな行動、言葉足らずな発言、やせ我慢などによって、過剰なまでに悩んだり大事な人を傷つけたりしながら成長していくのです。

中でももっとも不器用なのがヒロインのカンナですが、最終的に彼女にも運命の出会いが待っています。自分と似たトラウマを抱いて生きていた相手との出会いを通じて、ようやく長年の深く重たいトラウマから脱して新しい一歩を踏み出し始めるカンナ。大人になった今だからこそ、青春時代のヒリヒリするような思いやじれったさ、もどかしさをもう一度味わいたい人におすすめしたい爽やかな読後感のある名作です。

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