漫画『笑う大天使』の感想・無料試し読み

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『笑う大天使』とは

川原泉の『笑う大天使』は1987~1988年に白泉社の少女マンガ雑誌『花とゆめ』に連載されていたコメディマンガである。本編に続き、番外編『笑う大天使 空色の革命』『笑う大天使 オペラ座の怪人』『笑う大天使 夢だっていいじゃない』も『花とゆめ』で連載された。また、2006年には白泉社の少女マンガ雑誌『メロディ』にて『笑う大天使 特別編』も掲載されている。さらに、2005年には映画化も行われた。

『笑う大天使』のあらすじ

『笑う大天使』は『花とゆめCOMICS』の単行本で全3巻、『白泉社文庫』では全2巻です。本編は『花とゆめCOMICS』では1~2巻、『白泉社文庫』では1~2巻に収録されています。番外編である『笑う大天使 空色の革命』『笑う大天使 オペラ座の怪人』『笑う大天使 夢だっていいじゃない』は『花とゆめCOMICS』の3巻と『白泉社文庫』の2巻で読むことが可能です。また、『特別編』は『ワタシの川原泉(2)川原泉傑作集(花とゆめコミックススペシャル)』(2013年)に初めて収録されました。

本編では3人のヒロイン、司城史緒・斉木和音・更科柚子の出会いや背景が紹介されます。それぞれが異なる家庭環境を持ちながら、庶民的センスという共通点で運命を感じた3人。彼女たちが通う聖ミカエル学園はカトリックの名門女子校で、周りの女生徒たちは名家や富裕層のお嬢様ばかりです。周りに合わせるために猫をかぶって上品ぶりつつ、3人だけでいるときにはリラックスできる関係になれたのでした。そんな彼女たちはお嬢様たちの人気者です。

良家の令嬢ばかりをねらう誘拐事件が多発し、聖ミカエル学園でも注意喚起がなされます。しかし、誘拐犯は神父を装って聖ミカエル学園に入り込み、お嬢様たちの中でも特に美しく上品な5人を誘拐してしまいました。その5人はたまたま、ヒロイン3人が親しくしていた少女ばかりです。3人組は新任の神父が怪しいことを早くも嗅ぎつけて、事件を解決するのでした。

番外編『笑う大天使 空色の革命』『笑う大天使 オペラ座の怪人』『笑う大天使 夢だっていいじゃない』は、和音・柚子・史緒のそれぞれに焦点を当てた物語です。また、『笑う大天使 特別編』では、聖ミカエル学園周りに住み着いている野良犬ダミアンを主人公に、卒業から20年後の物語が描かれます。

『笑う大天使』の魅力

上品でエレガントなお嬢様やシスターの中に庶民的なカジュアルな性格のヒロインたちが混じって学園生活を送るので、周りとの言葉遣いや表情のギャップが面白いです。また、ヒロインたち自身も聖ミカエル学園で浮かないように上品さを装うため、その落差が笑えます。一方、お嬢様やシスターの言葉遣いや心がけは浮世離れしているほど美しいので、心が洗われる思いがしました。それから、ヒロインたちを見守る保護者たちの優しさに心が温まります。

全体的にコミカルでハートウォーミングなテイストで描かれていますが、各話には深いテーマがこめられており、考えさせられるところも多いです。また、泣けるエピソードもあるため飽きがこず、長年の愛読書として何度も読める作品といえます。

『笑う大天使』の印象的なエピソード

白泉社文庫1巻(本編/猫はトモダチ こわくない):兄と妹の関係

ここでは対照的な2組の兄と妹が登場します。まず、15年以上も互いの存在を知らないままに全く異なる環境で育った司城一臣と史緒です。一臣は妹にできる限りのことをしてやりたいと望んでいますが、史緒は上品すぎる一臣に失礼なことをしてはいけないと思うあまり緊張し、一緒にいることを苦痛に感じています。せめて食事はリラックスして食べたいと思った史緒は勉強を口実にして、自室で食事をするようになりました。しかし、一臣は『一緒に食事さえしたくないほど嫌われるとは思わなかった』(※1)と思い詰めてしまうのです。

それを聞いた史緒は一臣に歩み寄ることを約束し、次の食事では会話を弾ませようと考えて、一臣に『職業は何ですか?』(※1)と尋ねました。すると一臣は『誰の』(※1)と聞き返します。そこで史緒が『にーちゃ…』(※1)と言いかけて口ごもってしまうのです。「にーちゃん」と呼びかけるのは上品な兄に対して適切ではない、かといって「お兄様」と言うのも自分らしくない、と悩むのです。そのあげく、史緒は兄を呼ぶかわりにフォークで指すという不作法をしてしまい、兄は白目をむいてしまいます。

もう1組の兄と妹は、生まれたときから一緒に育った更科孝志・柚子です。2人はお正月の残りのお餅をチーズやベーコン、大根おろしなどでアレンジして、おいしく食べています。『私、おかわりしよっと!今度はチーズとベーコンの二段構えでいってみる。にーちゃんは?』『う~む、食いすぎると便秘がコワい。便秘は痔の大敵だからな~。にーちゃんは痔疾の気があるのだ』『ちょっとっ!やめてよっ、モノ食ってる時にウンコの話は!』『おれはウンコなんて言ってねえ!!便秘と痔の関係を述べただけだっ』(※1)

一般的な家庭に生まれて一緒に育った兄妹ならよくありそうな会話ですが、史緒と一臣の関係をみた後では、孝志と柚子がいかに何の遠慮もない仲良しの家族であるかがしみじみと感じられます。「こんなお兄ちゃんがいたら楽しいなあ」と感じた読者も多かったのではないでしょうか。また、平凡でも家族みんなが仲良しの温かい家庭がどれほど貴重なものかを感じさせてくれるエピソードとして印象に残りました。

孝志は他のエピソードでも、気取らず臆せずというキャラクターを発揮しており、地味ながら魅力的な男性です。その価値はお嬢様にもわかったのか、後に孝志は柚子の先輩である「白薔薇の君」と結婚することになります。

白泉社文庫2巻(最終巻)(番外編/『笑う大天使 空色の革命』:大切な相手ときちんと向かい合う大切さ

このエピソードでは和音の両親である斉木総一郎・迪子のなれそめや、養育係である若月俊介が斉木家に来た事情などが描かれます。総一郎と迪子は結婚する前からお互いに恋心を抱いていたのに、プロポーズの言葉を言い間違えたことで誤解が生まれてすれ違っていました。しかし、いつも元気な和音がストレスをためて倒れたことで夫婦の会話が生まれ、誤解が解けて和解します。

和音が神経性胃炎を患った理由は、俊介の言うことに従順すぎて自分の気持ちを自覚せず、縁談が進んでいくのを結納を交わす寸前まで止められなかったせいでした。ボーイッシュなだけに女としての感情に疎い和音にとって、俊介に対する感情は恋とも言い切れないほど淡いものかもしれません。しかし、胃が痛くてうめきながら、やっと本音が出てくるのです。『俊介~、腹が痛くて行けねーよ~、助けてくれ~、俊介~いてーよ~、どこにも行きたくねーよ~』(※2)俊介もまた、縁談の相手に頭を下げに行く役割を積極的に引き受けます。『和音さんは私に嫌だと言ったんですよ。だから私が行きます。誰が何と言おーと私が行くんです。ええ!』(※2)

身近にいる大切な相手との関係を見つめなおす大切さについて、考えさせられるエピソードでした。

白泉社文庫2巻(最終巻)(番外編/オペラ座の怪人):外国人への恐怖心を克服した柚子

歳末大売り出しの商店街で柚子はロレンス先生にばったり会いました。2人が持っていた福引券を合わせて2回くじを引くと、柚子はなんと特賞のイギリス往復航空券を当ててしまいます。航空券だけもらっても困る、自腹で宿や食事を賄って自力で観光するなんて英語も話せないのに無理、と言う柚子。ロレンス先生は『それじゃ、僕ん家にいらっしゃい。僕も冬休みは帰国するから一緒に行きましょう』(※2)と誘います。柚子は気が進みませんが、家族も行けと言うし、ロレンス先生の善意をむげにできず断れませんでした。

2人でロンドンに到着するも、クリスマスシーズンのため主な観光スポットは営業していませんでした。翌日、車でロレンス先生の実家へ向かいます。郊外へ4~5時間も走るうちに柚子は眠ってしまい、ロレンス先生に起こされました。『着きましたよ』『どこに?』『僕ん家』(※2)目に入ったのは大きな噴水のある広い庭、そして複数の塔を持つ古式ゆかしいお城でした。中に入ると、老執事がうやうやしく出迎えます。ロレンス先生は伝統ある家柄の貴族だったのです。あまりの豪華さに開いた口がふさがらない柚子。紅茶の葉やミルクの種類は何が良いかを細かく聞かれるうちに腹が立ってきて、ロレンス先生の首を絞めます。

そこに現れたのが、ロレンス先生の親友であるドイツ人オペラ歌手・ラインハルト。登場すると同時にロングコートの裾を踏んで転び、高価なツボを割ってしまいました。ロレンス先生がラインハルトに柚子を紹介すると、完璧な日本語であいさつをしてくれたのです。

このエピソードでは、外国人が苦手で怖いと思っていた柚子も、ロレンス先生と過ごすうちに自分らしく接することができるようになったところが良いと感じました。また、オッチョコチョイで気の弱そうなラインハルトとの出会いも、外国人に同じ人間としての親しみを感じられるようになったきっかけでしょう。

白泉社文庫2巻(最終巻)(番外編/オペラ座の怪人):最後まで役割を果たそうとしたテディベアが涙を誘う※ネタバレ注意

柚子はラインハルトを「ハル」と呼び捨てにできないため、「おハルさん」と呼ぶようになります。おハルさんは夜中に夢遊病者のように歩き回り、テディベアを探していました。一方、和音と史緒も柚子を追いかけてイギリスに渡航し、ロレンス家に向かいます。道中、2人は身長が1mあるテディベアにロレンス家への道順を聞かれて驚きますが、時差ボケで幻覚を見たということにしました。ロレンス家に到着後は城の豪華さにあぜんとするものの、すぐになじみ、おハルさんとも意気投合します。テディベアは物陰からこっそり様子をうかがっていました。

その夜も更けて、みんなは眠りについたものの、おハルさんがまた夢を見ながら徘徊するので目を覚ましてしまいます。そこに、テディベアが現れました。ロレンス先生はすぐ、おハルさんが大切にしていたテディベアのルドルフ・シュミットだと気付きます。シュミット氏は、おハルさんには秘密でロレンス卿に相談したいことがあってやってきたというのです。

シュミット氏は、おハルさんの父親が不器用で内気な息子のお守り代わりとして買い与えたものでした。おハルさんが宝物のように大切にして話しかけるうちに、シュミット氏は人の言葉を理解するようになり、おハルさんが成功する度に『君のおかげだ』(※2)と言っていたことに気付きました。自分は何もしていないのに、とシュミット氏はとまどいます。おハルさんが成功したのは、自分で努力したり、良い友達に支えられたりしたからだと思うからです。『―聞いてください、ロレンス卿。私は無力です。役立たずです。少しでもハル君の力になりたいのに、大事にされるばかりで何もしてあげられません』(※2)

自分で動けるようになったシュミット氏は、少しでもおハルさんを手伝おうと、こっそり家事をすることもありました。しかし、すぐにおハルさんに気付かれてしまって、『やっぱりキミは只者じゃなかったんだっ!!』(※2)と感激され、さらにいたたまれなくなって家出をしたのです。そして、放浪するうちにおハルさんの親友であるロレンス卿のことを思い出し、相談してみようと思い立ちました。『教えて下さい、ロレンス卿。ハル君の御恩に報いるために私はどしたらいいんでしょう』(※2)ロレンス先生は、君が君であるだけでハルは救われるという内容をシュミット氏に説いて聞かせました。

納得し、翌朝にはハル君との再会を果たしたシュミット氏。楽しい日々が始まり、シュミット氏は3人娘の中でも柚子と特に仲良くなりました。しかし、楽しい暮らしに小さな暗雲が漂い始めます。ハル君の体調が良くないことにシュミット氏とロレンス先生は気付きました。

日本に帰国した柚子のもとへ、突然、シュミット氏が訪ねてきます。ハル君が入院したので、友達になった皆がお見舞いに来てくれたら早く回復するんじゃないかと言うのです。そこに電話が鳴り響き、ロレンス先生が受話器を取りました。それは国際電話で、一同が恐れていた内容を告げるものだったのです。その瞬間、シュミット氏はポロポロと涙を流して倒れ、その姿はあっというまに変化してしまいました。床に落ちているのは、泥にまみれ、ボロボロにすり切れた小さなぬいぐるみでした。

ハル君のお葬式にはロレンス先生が代表で参列し、3人娘はお花代を託しました。シュミット氏も同じお墓にハル君と一緒に埋葬されたのです。ロレンス先生は一週間後に帰国して通常通り授業をするようになりましたが、1人になると食事もしないほど悲しんでいます。そんなロレンス先生を見かねて柚子は毎日、食事を届けるようになりました。ロレンス先生も3人娘も、おもちゃ屋でクマのぬいぐるみを見かける度に、おハルさんとシュミット氏のことを思い出すのです。

このエピソードは川原泉のファン投票で2位を獲得した人気作品となっています。友情や「自分の存在価値とは何か」などについて考えさせられる内容です。また、シュミット氏の一途な気持ちが起こした奇跡が切なすぎ、思い出すだけで何度も泣けてしまいます。

白泉社文庫2巻(最終巻)(番外編/『笑う大天使 夢だっていいじゃない』):寡黙な兄が妹を思う心情にしみじみする

このエピソードで『笑う大天使』のストーリーは収束し、3人娘の卒業式のシーンでエンディングを迎えます。番外編の3話目は史緒と一臣兄妹の物語です。同居を始めて1年以上が経過し、2人の関係はかなり気安いものに変化していました。史緒は一臣を「兄ちゃん」と呼ぶようになり、もう猫をかぶる必要を感じていません。一臣も史緒が誤って自分の手を踏んづけた罰として原稿の口述筆記や編集者への対応を頼むなど、史緒に対して遠慮がなくなっています。しかし、2人の間には本当に何の気兼ねもないのでしょうか。

交際する女性が頻繁に変わる一臣は、毎月のように史緒を新しい女性とのデートに同伴します。兄の彼女に嫌な顔をされるよりも、家でテレビを見ていたいという史緒。デートなら2人で行くべきだ、と言うと、一臣は『そーか、史緒さんは僕と「2人だけで」「おでかけ」したいんだね?』(※2)と答えて、史緒を脱力させます。遠縁のおばさんが見合い話を持ってきたときも、一臣はあまり乗り気ではありません。しかし、史緒が強く勧めるので見合いをすることにしました。見合い相手の女性は一臣の彼女たちとは違い、史緒とも仲良く3人でデートを楽しんでくれる女性。史緒もすっかり、彼女を兄嫁として接します。

東大の二次試験も終わり手ごたえがあったと感じていた史緒に、兄の婚約者は突然、スイスにある自分の母校への進学を勧めてきました。彼女が好意で言ってくれていると感じた史緒は自分の将来設計をあきらめても彼女に従おうかと考えますが、それを聞いた和音と柚子は不審に感じて、一臣に言いつけます。一臣は『-了解。もうしばらくの間、観察してみましょう』(※2)と答えました。

ある日、史緒と一臣が住む家に婚約者が訪れ、一臣を遠出して海に行こうと誘います。史緒は遠慮して隠れていました。一臣が史緒を呼ぼうとすると、婚約者は『でも、たまには妹さん抜きでお会いしたいわ。二人きりでお話したいこともあるし』(※2)と言います。聞いていた史緒もそれが当然だと思いました。しかし、一臣は長年離れて暮らしていた妹への思いを語り、『-ですから、一緒に暮らすのであれば、僕より妹の方を大切にしてくれる人でなければ困ります』(※2)と言うのです。善意を装って小じゅうとを遠ざけようとした婚約者の意図を、一臣は見破っていたのでした。史緒は兄の気持ちを聞いて、母の死後、兄に初めて会ったとき、ほっとして泣きたくなったことを思い出します。

そして、史緒たちの卒業式前夜。史緒は兄が卒業式に出席してくれると聞いて、こう言うのでした。「-よし!そんじゃお礼に、兄ちゃんが孤独な老人になったらば私が面倒見てあげよう」(※2)一臣はニコニコしながら、史緒をたたきます。やっと、兄妹らしいじゃれ合いができるようになったのでしょう。賛美歌が響く卒業式が終わって校庭に出てきた3人を、一臣、俊介、ロレンス先生が感慨深げに見つめます。3人を一緒にフレームに入れた卒業写真のシャッターが下りて物語の幕が下りるのでした。

そして、卒業後の3人娘の将来が文章で説明されます。柚子は将来、ロレンス先生と結婚して6人の子持ちとなり、日本とイギリスを行き来して生活。和音は体育教師やスポーツクラブ経営をしながらインストラクターとしても活躍し、後に俊介と結婚して1男1女をもうけます。史緒は昔からの計画通りに東大を卒業して官僚への道を歩み、史上初の女性事務次官となりました。独身のまま、一臣と一緒に暮らしています。

最初はぎこちなかった兄妹が本当の家族になっていく姿が感動的でした。また、3人の将来像も「収まるところに収まった」と感じさせ、気持ちの良いエンディングだったと思います。

登場人物

司城史緒

ヒロイン3人娘の1人で聖ミカエル学園2年生。貧しい母子家庭で育ち、将来は東大に進学して官僚を目指していた。母が亡くなった直後に生き別れだった兄が現れ、同居するようになる。司城家は元華族の名門でお金持ちだったため、史緒は不本意ながら兄に従って聖ミカエル学園に転校した。成績優秀でスポーツ万能。アジのひらきなど、庶民的な食べ物への執着が強い。2年生からアイドル視されている。

斉木和音

ヒロイン3人娘の1人で聖ミカエル学園2年生。大企業の令嬢でスポーツ万能、ボーイッシュな魅力を持つため、1年生から「オスカル様」と呼ばれて慕われている。両親が不仲で和音にも関心が低く、幼い頃から若月俊介に世話をされていた。クールに見えるが、実はボーッとしているだけのことが多い。

更科柚子

ヒロイン3人娘の1人で聖ミカエル学園2年生。庶民的な家庭で育つが、両親の経営する食堂が急成長を遂げて大規模な外食チェーンとなった。自宅から一番近いというだけの理由で聖ミカエル学園に入学してしまい、上流の雰囲気に違和感を覚えている。小柄で成績優秀なため、3年生から「コロボックルちゃん」と呼ばれて愛玩される存在である。

司城一臣

史緒の兄で、史緒が高校2年生になるまでお互いの存在を知らずに暮らしていた。大金持ちで、使用人が何人もいる邸宅に住んでいる。苦労させた妹を大切にしたいと願う優しい兄だが、上流の育ちゆえ史緒とはカルチャーギャップがあり、うまく打ち解けられない。作品ジャンルを問わず仕事を引き受ける売れっ子作家。

斎木総一郎

和音の父で新日本産業グループ会長。一代で財を成した努力家だが妻・迪子との関係が冷え切っており、妻公認の愛人を3人も持っている。身寄りのない中学生だった若月俊介を引き取って和音の養育係にした。

若月俊介

和音が2~3歳の頃から養育係を務め、現在は斎木総一郎の秘書でもある。故事成語やことわざ・格言が好き。和音にとっては口うるさいじいやのような、兄のような存在。

更科孝志

柚子の兄で、両親譲りの地味な顔に地味な性格の眼鏡男子。庶民的でフレンドリーだが、外国人や上流階級の人に接しても堂々としている。

ロレンス先生

聖ミカエル学園で3人娘の担任をしている教師で、イギリス人。流ちょうな日本語を話し、国語を担当している。実は聖ミカエル学園の理事長でもあり、フルネームは「ザ・ライト・オノラブル・ヘンリー・エセルバート・ロード・ロレンス・オブ・ノーザンプール (The Right Honourable Henry Ethelbert Lord Lawrence of Northumpool)」。爵位を持っていることが名前からうかがわれ、彼の地位を知る人は彼を「ロレンス卿」と呼ぶ。歌うことが好きだが、音痴。

白薔薇の君

聖ミカエル学園高等部3年生で、外国人誘拐団にさらわれる5人のうちの1人。柚子を心からかわいがっており、後に柚子の兄・孝志と結婚する。

ダミアン

聖ミカエル学園の周りを縄張りとする黒い野良犬。いつも、お嬢様たちのお弁当をねらって待ち伏せをしている。学園内外で起きる出来事を観察しており、偶然ながら誘拐事件解決にも一役買うことになった。

エミリオ・マリーニ神父

聖ミカエル学園に新しく赴任しようとしたタイミングで外国人誘拐団に拉致、監禁されていた神父。おしゃべりでオッチョコチョイ、ビン底眼鏡で眉間にホクロがある。

イスカリオテのユダ

外国人誘拐団のメンバーでイタリア人。エミリオ・マリーニ神父の名をかたって聖ミカエル学園に赴任し、誘拐のターゲットとなるお嬢様を物色する。愛車は黒のフェラーリ。

ラインハルト・フォン・ベルンシュタイン

通称は『ハル』『おハルさん』『ハル君』。番外編『笑う大天使 オペラ座の怪人』に登場するドイツ人オペラ歌手で、ロレンス先生とは幼なじみの親友。内気で不器用な少年だった。テディベアのルドルフ・シュミットの持ち主。

ルドルフ・シュミット

身長1mの不思議なテディベアで、『ルドルフ』または『シュミット氏』と呼ばれることが多い。子どもの頃に内気で不器用だったハル君が父親からお守りとして与えられたもので、ずっと大切にされてきた。もともとは普通のぬいぐるみに過ぎなかったが、ハル君から愛情を受けたために魂が宿る。そして、ハル君を思うあまり特殊能力が芽生えて、動いたり話したりできるようになった。『笑う大天使』の登場キャラクター中、最も読者を泣かせたのは、このクマかもしれない。

沈丁花娘

和音に憧れていた聖ミカエル学園高等部1年生の女生徒で、フワフワのロングヘア―の持ち主。和音に憧れているが内気でなかなか声をかけられずにいたところ、髪の毛が木の枝に絡みついてしまい、和音に助けてもらう。その光景が名作少女マンガ「ポーの一族」の有名シーンに似ていると史緒と柚子は大喜びし、それ以来、その女生徒を「沈丁花娘」と呼ぶようになった。作品中に名前は出てこない。

用語

聖ミカエル学園

良家の子女を対象として幼稚園から短大までの一貫教育を行っている名門女子校。俗世間から隔離されて「良き妻・良き母」となる女子を育成することをモットーとしている。カトリック系のミッションスクールでもあるため、神父やシスターが教員や職員を務め、礼拝や「宗教」の授業もあるのが特徴。そこに通う生徒のほとんどが大金持ちや名家の令嬢で、中には天皇家や華族の血を引く少女もいるといわれている。生徒たちは皆、上品でエレガントであり、心も姿も美しいため、「大天使の乙女たち」と呼ばれている。

闇の12使徒

イスカリオテのユダが所属する国際人身売買組織。現代では希少な存在となった純粋なお嬢様を誘拐し、金持ちの変態に高く売りつけるのが主な活動である。日本では西日本の名門学校の女生徒が何人も被害に遭っており、ついに東日本にある聖ミカエル学園にも魔の手を伸ばしてきた。組織のメンバーはそれぞれ、キリストの12使徒の名をコードネームにしている。

エサのいらない猫

お嬢様学校で周りから浮かないために、ヒロイン3人娘は猫をかぶっている。『あんたたち、ひょっとして猫飼ってない?エサのいらないやつ』(※1)

メンデエーレフの力

ヒロイン3人娘が理科の先生に頼まれて実験道具の後片付けをしたとき、試験管やビーカーに残っている色のキレイな液体を混ぜ合わせて遊んだ。すると、液体は激しく泡立って煙が立ち上り、それを吸い込んだ3人は気絶してしまう。しばらくして覚醒した3人はそれぞれ帰宅するも、落ちてきた鉄骨や巨木、大きなブロンズ像を軽々と支え、怪力の持ち主になっていたことが判明した。『遂に我々はメンデエーレフ先生を越えて、超人的なパワーを得たのだっ!』(※1)3人が誘拐事件を解決するにあたって、この怪力はおおいに役立った。

かぼちゃ亭/パンプキン・チェーン

柚子の両親が以前に経営していた大衆食堂で、『「安い・早い・美味い」で評判』(※1)となっていた。好評に応えて店舗数を増やしていくうちに、『気がついた時には、全国各地に68店を数える一大レストラン・グループ「パンプキン・チェーン」となっていたですよ』(※1)

東和グループ

番外編『笑う大天使 空色の革命』に登場する『財界の名門』(※2)。和音は東和グループの御曹司である稲垣敏行(33歳)に見初められてお見合いをすることになる。はっきりと拒絶できないでいるうちに縁談は進み、和音はストレスで神経性胃炎になってダウンしてしまった。結果として、和音はそれまで自覚していなかった俊介への思いを少しは感じるようになったのかもしれない。

鳴沢家

番外編『笑う大天使 空色の革命』に登場。和音の母・迪子の出身家で、旧・秋吉田藩25万石城主であった大名の直系子孫にあたる名家。迪子の父はいまでも城を所有する殿様で、その財産は城に土地、都内一等地にある旧・藩邸などばく大なものである。和音の父・斎木総一郎は迪子に恋していたが、『当家の由緒ある全財産を守れる男にしか娘はあげないもんね』(※2)と殿様に言われて奮起し、ビジネスを成功させた。

しかし、結婚の許しを得に来たときに、致命的な言い間違いを犯してしまう。『お嬢様をください。そのかわりお城の件はお引き受け致します』と言うつもりが、逆に『お城をください。そのかわりお嬢様の件はお引き受け致します』(※2)と言ってしまったのだ。殿様は爆笑して結婚を許してくれたが、迪子は怒り、冷たい夫婦関係の原因となった。

僕ん家

ロレンス先生の実家で、ロンドンから4時間あまりの田園地帯ノーザンプールにある貴族のお城。いくつもの搭を持つ伝統的な建築スタイルを維持しており、庭には大噴水、城内には豪華けんらんなアンティーク家具調度が現在も実用されている。何があっても動じず主人に忠実な老執事もいるなど、典型的なイギリス上流階級の住居である。現在はロレンス先生が当主となっているのだ。