読むたびにドキドキする!いくえみ綾の胸キュン恋愛漫画7選

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1.『太陽が見ている(かもしれないから)』

『太陽が見ている(かもしれないから)』は、いくえみ綾らしい、登場人物の微妙な気持ちが交錯する作品である。やわらかいタッチの絵に、それぞれの思いが表現され、読み進めるごとに切なくなってしまう作品だ。この作品は、集英社発行のコミック「マーガレット」に連載され、複雑で純粋な恋愛と友情を描いた青春ラブストーリーとして仕上がっている。

『太陽が見ている(かもしれないから)』のあらすじ・魅力

第1巻では、楡(にれ)と岬(みさき)が出会う中学生の頃のエピソードから始まります。岬は、同級生に告白されてドキドキしたり、友人と恋愛話で盛り上がったりと、多感な時期の女子らしい毎日を送っていました。一方楡は、同じクラスでありながら他のクラスメイトとはほとんど口をきくことがなく、どこか謎めいた印象の男子でした。そんな楡と岬は、席替えをすることで急接近することになります。無口で話しにくいと思っていた楡は、意外と岬とは気が合い、それからというもの、一緒に下校したり休日に誘い合って勉強したりと、仲を深めていくのでした。楡が物静かな性格になった理由であるつらい過去も、なぜか岬には話せてしまい、楡は素直になれる自分に戸惑いも覚えます。

楡は誕生日に、プレゼントとして古いフラットハウスを父にねだります。そして、以来、そこが岬と楡の秘密の隠れ家になりました。同じ高校に進学した2人は、そのフラットハウスで共同生活を送ります。しかし、2人の関係はあくまで親友のまま、それ以上になることも、それ以下になることもありませんでした。そんなある日、楡の幼な馴染みの女子、日帆(かずほ)が現れ、2人の関係が少しずつ変化します。岬と日帆の間にも純粋な友情が芽生えるのですが、同時にお互いが楡を好きだという感情にも気づいてしまいます。

楡と岬の同居生活が学校に知られたことから2人は距離を置くことになり、それぞれが別の相手と付き合うことになるのですが、次第に楡は自分の違う気持ちに気づき始めるなど、展開に目が離せません。この作品の魅力はやはり、登場人物がそれぞれに抱える純粋な思いです。相手を思うばかりに本心を隠してしまったり、一歩引いてしまったりするところは、読んでいてじれったくなることもあるでしょう。ライバルの登場で初めて自分の気持ちに気づくという流れは一見ありがちなのに、いくえみ綾が描くと漫画の域を超え、映像を見ているような感覚で引き込まれてしまいます。

第7巻:お互いの気持ちに気づいてしまう楡と日帆

楡、日帆、そして岬は、どことなく自分たちの本心に蓋をしてしまうような状態で、毎日を送っていました。そんななか、岬が恋人と別れたことで、日帆は次第に焦り始めます。第7巻の冒頭では、ある日、岬に会って帰宅した日帆が楡と衝突シーンで始まるのですが、この場面でのやりとりで、2人はぼんやりと自分の本当の気持ちに気づくことになるのです。楡は、岬と過ごしたフラットハウスを日帆には触れさせることができません。

それは、岬への楡の本当の思いが隠れているようにも見えます。それが日帆のなかで、どこか楡に対して心を開けない理由にもなっていました。その気持ちを楡にぶつけてしまう日帆は、同時に自分のなかの嫉妬という醜い心も打ち明けます。楡は楡で、フラットハウスへの思いと岬への思いについて、新たな気づきへとつながっていきます。まるで付き合うことが当然のように、何の疑いもなく付き合ってきたことに対して、少しずつズレができていることにお互いが気づいてしまうシーンです。

2.『あなたのことはそれほど』

『あなたのことはそれほど』は、祥伝社発行のフィールヤングコミックスで連載されたラブストーリーだ。こちらの作品はダブル不倫という重いテーマで、ドラマ化もされている。テーマは重いが、どこか軽さもあって「婚外恋愛」という言葉で不倫する主婦が多いといわれる時代に合った作品だ。ドラマのほうも人気が高く、不倫経験者ではなくても興味深い作品と言えるだろう。

『あなたのことはそれほど』のあらすじ・魅力

30歳を目前にした美都(みつ)は、子どもの頃からずっと好きだった同級生、光軌(こうき)と偶然会い、そのまま飲みに行った流れで体の関係を持ってしまいます。この展開が非常に軽いもので当事者に全く迷いがなく「単なる初恋が成就した話」という錯覚を受けるのですが、実はそうではありません。初恋の人に再会し、思わぬ展開にはしゃぐ美都は友人に打ち明けますが、実は美都は既婚者なのです。軽い行動を軽蔑する友人に、美都は「実は光軌は初めての相手だった」と告白します。美都は、中学生の頃に、すでに光軌とは体の関係を持った仲だったことを告白します。

しかし、既婚者は美都だけではありませんでした。実は光軌は妻帯者で、そればかりか、妻は出産で帰省中という状況での浮気だったことも判明していきます。光軌の子どもが無事に生まれても、結局、2人の関係は断ち切ることができません。美都の夫にも次第に気づかれてしまいます。美都の夫の涼太は、実は美都の携帯をチェックしていたのです。さらに、涼太は、妻の浮気相手である光軌の家族に接触するなど、謎の行動も取り始めます。光軌の妻も夫の浮気に気づき始め、それでも別れられない2人と、それぞれの家庭で起こる変化がつらく、ドロドロとした展開を迎えるストーリーです。

この作品の魅力は、軽い行動でのダブル不倫で始まっていながら、そこから見えてくる夫婦のつながりではないでしょうか。結婚という強い絆や重み、軽い気持ちで始めた不倫でありながら、次第にそれが重みを増していくところに、夫婦とは何か考えさせられてしまいます。軽い衝動から複雑な展開を迎えた2組の夫婦がどうなっていくのか、読み進めるのが楽しみな作品です。

第4巻15話:美都と涼太の苦しみが爆発

第4巻15話では、美都と涼太の心の苦しみが爆発するシーンがあります。夫婦のズレを感じ、解決の糸口を探ろうと、夫婦で占い師のもとを訪れるシーンです。夫婦の問題を解決するために占いを頼ることに疑問を持つ涼太は、その場に来ても気が進みません。やめようと考えていると、自分たちの順番になり、結局見てもらうことになりました。占い師に『2人の結びつきは強い』と言われて安心するものの、占い師に自分の心の奥底の状況を次々と告げられたことで、次第に涼太は動揺を始めます。さらに、別れないかどうかについてあいまいな回答をする占い師に腹を立てた涼太は、たまらずにその場を飛び出してしまいます。涼太は、夫婦に亀裂が生じていることに気づきながら、別れたくないと必死に抵抗する自分を認めたくないのです。

占いを否定する涼太は、その流れで次に姓名判断をする占い師のところに飛び込みます。しかし、そこで彼が記入した名前は、美都の浮気相手の名前でした。人生何をやってもうまくいく、配偶者にも恵まれて晩年も安泰など、最高の誉め言葉をもらい『ばかばかしい』と飛び出します。その場に残され、浮気相手の名前が書かれた紙を見つめる美都は、笑うしかありませんでした。このシーンには、夫婦に限らず、壊れた男女のドロドロした空気がよく出ています。

3.『朝がくる度』

『朝がくる度』は、集英社から発行されているクイーンズコミックスで単行本化されている。電子書籍でも読める青春ラブストーリーだ。この作品はファンが多く、何度も読み返してしまう人も多い。ややディープな恋愛事情を抱えていながら、誰でも経験しやすい思いも同居している主人公と登場人物に魅力を感じ、感情移入して読む人も多い作品である。『朝がくる度』は短編作品なのですぐに読めてしまうが、一緒に収録されている作品もまた以外な展開のストーリーで、人気のある単行本だ。

『朝がくる度』のあらすじ・魅力

啓久(ひらく)は19歳の大学生で、見た目もよく人気もあるため、近寄ってくる女子もたくさんいます。見た目がかっこいいだけでなく、笑顔がかわいいことで女子の心を掴んでしまうというキャラです。しかし、一度関係を持っても簡単に捨ててしまうなど、軽薄で嫌な奴という噂は絶えません。ところが、親友と一緒にいるときの啓久はまるで子どものように純粋な面があったり、優しかったりと、人間として特に問題があるようには見えず、何が彼を「嫌な奴」にしているのか謎が深まります。

気ままなひとり暮らしにバイト、友人との時間と、どこにでもありそうな学生生活が流れていくなか、啓久にとって事件が起こります。1つは、執拗に啓久を追う元カノで、ある重大なことを告げられてしまうのです。元カノといってもたまたま1度関係を持っただけの女子で、啓久は彼女自身には何の興味も持っていません。そのせいか、彼女の重大告白に驚くこともなく、平気で冷たい態度をとります。まさに最低の男なのです。そんな啓久に、もう1つ大事件が起こります。それは妹の結婚で、それによって啓久の心の闇というか、本気で恋愛しない理由が次第に明かされていくのでした。親友が実は同性愛者だったことが作品中で自然にわかるなど、啓久以外にも、それぞれが抱えている悩みがストーリーの展開とともに発覚していきます。

この作品の魅力は、10代にありがちな悩みと自己嫌悪、希望ではないでしょうか。朝がくると昨日がリセットされているような希望を感じながら、結局は変わっていないという軽い絶望を感じるという点に、共感を覚える人が多いのかもしれません。自分に悩みながら、前に進もうとしているそれぞれの葛藤が痛いほど描かれている作品です。しかし、10代にありがちな葛藤や特殊な愛情を描いていながら、啓久の家族はどこかほのぼのしており、優しい気持ちにもなれる安心感もあります。それが希望につながっていく部分でもあり、多感な時期の苦しさと迷い、希望をうまく表現している作品に仕上がっています。

1巻:妹の結婚相手の写真に気絶する啓久

妹の結婚相手が発覚するシーンです。進学をやめて結婚するという妹に母親が詰め寄ります。その場に居合わせた啓久は、妹の結婚相手の名前を聞き、自分も知っている相手だったことでショックを隠せません。しかも、通常で考えたら問題のある相手です。ショックを受けたものの、相手の写真があることに気づいた啓久は、妹の目を盗んでこっそり確認をします。写真を持ったまま無言で見つめる啓久は、その場で気絶するのでした。写真を見つめる啓久の顔は歪み、泣きそうにも見えます。このシーンが、啓久の妹への思いと強いショックを表しているのですが、ポイントは結婚相手の男性です。立場や職業を考えたら、啓久に共感する人は多いかもしれません。それほど、妹の結婚相手とは衝撃的な人物だったのです。

4.『みつめていたい』

『みつめていたい』は、10代の揺れる感情を描いたラブストーリーで、集英社のマーガレットコミックスで単行本化されている作品だ。学校の人気者や、憧れの先輩、かわいい後輩など、学園ものにありがちな恋愛対象が登場することから、大人が読んでもドキドキする内容である。登場人物のささいな行動からすれ違いが起こるなど、ラブストーリーにありがちなお約束も盛り込まれていて、読む人を引き込んでくれる作品なのだ。

『みつめていたい』のあらすじ・魅力

高校生の真千子(まちこ)は、学園で人気のある祥児(しょうじ)と付き合っています。祥児は性格もよく、バンドをやっていることもあり、誰にでも好かれる存在です。当然ながら、彼を狙う女子もたくさん存在しています。ライブハウスでも彼に注目している女性客がいるなど、学園以外でもモテる要素がたくさんある男子です。しかし、唯一の欠点は「女の趣味が悪い」ことだと、常に女子たちに噂されていました。それは、真千子が「遊び人」といわれていたことが理由になっています。女子を中心に、真千子は男をとっかえひっかえしているという噂で、誰も真千子のことを擁護する人はいません。しかし、クリスマスのときに見せた表情と態度で、唯一祥児だけは『真千子は噂とはまったく違うのでは?』と思い始めていました。

祥児のライブに誘われ、友人の今日子(きょうこ)と見に行った真千子は、開場前に以前から知っている中学生の男子、高哉(たかや)に偶然会います。ふとしたことで高哉を追いかけるはめになり、そのまま祥児のライブを見ることなく終わってしまい、何となく気まずい空気が流れます。その一方で、以前から真千子に興味を持っていた高哉に引かれていき、距離は縮まっていくのでした。結果的に真千子は高哉を選んでしまい、学園内では孤独な日々が始まります。時間は流れ、京子と仲直りもでき、再び高哉のライブに誘われた真千子は、祥児と友人としてやり直せることを期待しますが、冷たい態度にショックを受けるのでした。

しかし、実際の祥児は完全に真千子から心が離れたわけではなく、高哉がきっかけを作ったことで再び急接近していくことになります。作品としては古いもので、かっこいいうえにバンドをやっているというモチーフが、学園もののモテる要素としては、王道とも言える作品でしょう。そのため、大人が読んでも懐かしく感じる人は多いかもしれません。いくえみ綾は男性の心理を描くのが上手いという声が多く、祥児の心の変化や高哉の性格を絶妙に表現しているところに魅力を感じる作品です。

2巻:ついに2人が仲直り?

悪い仲間と遊んでいる高哉を目撃した祥児が「なんで、こんな奴がいいのかわからない」と怒りを覚えるシーンです。同時に、そんな奴のために、自分があきらめる意味もわからないと感じ、その思いを高哉にぶつけます。すると「じゃあ、あんたが行ってやれば?」という高哉の意味深な言葉に、祥児は立ち尽くします。次のシーンでは雨の日の喫茶店が登場し、そこには誰かを待つ真千子の姿がありました。朝からずっと、1人でコーヒーをお替りしながら誰かを待ち続ける真千子の前に、ある人物が現れます。それは、高哉の言葉をヒントに、雨のなかをやってきた祥児でした。真千子は戸惑いを隠せません。ぎこちない態度でテーブルに座る祥児は、真千子に静かに語りかけます。真千子と祥児の今後がどうなるのかドキドキするシーンでもあり、長い時間心がずれてしまった2人が歩み寄るシーンでもあります。

5.『私がいてもいなくても』

『私がいてもいなくても』は、集英社のマーガレットコミックスから単行本化された、ラブストーリーである。恋愛で揺れる女子らしい心を描くと同時に、自分の存在意義についても考えさせられてしまう作品だ。友人や好きな人との間で自分はどうすべきか、どう生きるか悩んでしまう人が共感しやすい作品と言える。

『私がいてもいなくても』のあらすじ・魅力

晶子(しょうこ)はフリーターで、どうにか見つけたバイトで収入を得る毎日を送っていましたが、その仕事さえも失ってしまいます。家庭では、要領の良い兄と、そんな兄を特別扱いし、なぜか溺愛する母がいることで、自分の居場所を見出すことができません。そんなときに、同級生の真希(まき)が漫画家として注目され、売れ始めていることを知り、晶子の心は焦ります。まさにタイトルの通り『自分はいてもいなくてもいい存在ではないだろうか?』という悩みが、晶子のなかには渦巻いていました。そんな晶子の唯一の支えは、たまたまライブで知り合った彼氏の存在でした。

あるとき、晶子は、真希にアシスタントの仕事を依頼され、働くようになります。そこには、真希の彼氏である日山(ひやま)もいました。日山は、見た目が冴えないうえに売れない漫画家で、彼女である真希のアシスタントを勤めていたのです。晶子は、漫画家として順風満帆に売れ始めている真希とは違い、バイトまで失う自分に自信を失くしながらも、『彼氏は自分のほうが勝っている』と自信を持つのでした。そして、誘われるまま真希のアシスタントとして働き始めます。しかし、晶子の彼氏は浮気性という側面を持っていました。実際に浮気の現場を目撃したこともあり、結果的に、晶子と彼氏は別れてしまいます。

一方、真希と日山にも変化が起こります。日山が漫画家として売れ始め、真希のアシスタントを辞めることになったのです。そのうえ、真希とも別れてしまったことで、真希は晶子と日山の関係を疑い始めます。しかも、日山との別れで精神的に大きなダメージを受けた真希は、漫画を描くことができなくなっていきます。日山との仲を真希に詰め寄られ、否定する晶子でしたが、自分のなかの新たな気持ちもなぜか否定できません。一方、真希は真希で、日山への思いと晶子への敵対心を強めるのでした。

この作品は、非正規雇用が多い現代にマッチした、誰もが抱えやすい不安がテーマのひとつになっています。そのため、登場人物に感情移入してしまう人は多いかもしれません。また、自分の意外な気持ちに気づいてしまい、それが友人との亀裂につながるという難しいテーマも含んでいます。どちらも若い世代にはありがちな問題で、自分のことと重ねやすいのが魅力と言えます。

3巻:嫌な女登場!

真希が休業してしまったことで、晶子は突然収入が不安定になってしまいます。しかも、晶子は兄がきっかけで母とぎくしゃくし、ひとり暮らしを始めたばかりです。そんな晶子を心配して呼び出した真希の担当者との会話シーンは、非常にイライラする内容になっています。同時に、晶子と真希の関係をぎくしゃくさせた張本人であることもわかるシーンで「こういう女、いる!」と感じる人は多いかもしれません。冷静に読んでいくと、単なる空気が読めない人という見方もできますが、晶子を『夢のないかわいそうな人』とののしりはじめ、見下すような発言まで始めます。一見地味で大人しく、親切な人を装っていながら、裏では人間関係を引っかき回している嫌な女の一面が表面化するところが見ものです。

6.『愛があればいーのだ』

『愛があればいーのだ』は、高校での出会いがきっかけになっているラブストーリーである。集英社のマーガレットコミックスから単行本として出版されており、電子化もされている作品だ。主人公が気になっていた女子の謎が、出会いから数年の時間を経て解けるのも、物語の見どころのひとつとしてクローズアップされている。果たして、高校の同級生への思いは実るのか、ドキドキしながら読み進めていける作品だ。10代のときの気持ちを思い出しながら、大人になって変化する微妙な気持ちに共感しやすい作品ではないだろうか。

『愛があればいーのだ』のあらすじ・魅力

17歳の由輝(よしき)には、クラスのなかで誰よりも目を引く女子、美津子(みつこ)に夢中でした。しかし、目を引くと感じるのは由輝だけで、ほかのクラスメイトは誰も彼女のことを何とも思っていません。むしろ「暗い」と言われてしまうことが多く、存在感の薄い女子でした。そんなある日、下校前の教室でたまたま2人になる機会ができた由輝と美津子は、初めて言葉を交わします。その会話のなかで、美津子は女優志望であり、そのために演劇部に入っていることを打ち明けます。以来、由輝のなかで特別な存在となっていくのでした。しかし、2人の関係が変化するということが特にあるわけでもありません。

時は流れ、2人は卒業してぞれぞれの道を歩んでいます。由輝は、バラエティ番組のADの仕事に就いていました。現場には毎回のように遅れてしまうため、先輩には嫌味を言われながらも日々の仕事に励んでいます。クラスメイトだった美津子はどうしているのか、まったくわかりません。仕事の流れで女性といい雰囲気になっても、汚い言葉で拒絶してしまう由輝は、そんな自分に自己嫌悪を感じながら毎日を過ごしています。その一方で、プライベートでは隣人の女性、るみとも少しずつ特別な関係へと進展してしまうのでした。

ある日、たまたま目にした番組で、クラスメイトだった美津子女優として活躍していることを知ります。トーク番組に出演した美津子は、自分の過去の写真を紹介され、そのコメントとして「学生時代の自分は暗かった」「本当の自分ではなかった」など、謎めいた発言をします。仕事の現場で再会を果たす美津子と由輝ですが、そのうち美津子のスキャンダルが発覚することで、2人の関係にも変化が起こり、急展開へとつながっていくのでした。美津子と由輝、そしてるみとの関係はどうなっていくのか、芸能界を舞台にした、ちょっと大人のラブストーリーです。

1巻:同級生が別人に変身!

自宅で眠る由輝のもとに、隣人のるみが訪ねてくるシーンです。るみの目的は雨を知らせることで、由輝の洗濯物を心配しての訪問でした。しかし、るみの心配の甲斐もなく、由輝の洗濯物はびしょ濡れになってしまいます。洗濯物の処理を手伝うため、初めて由輝の部屋に入ったるみは、暴力をふるう彼氏との関係や思いを初めて由輝に告白し、そのまま眠ってしまうのでした。眠るるみをよそに、1人、テレビを見る由輝の目に、驚くような光景が飛び込んできます。

それは、まぎれもない美津子の姿でした。高校時代のアルバムが映し出され、本名もそのまま出ています。芸名を使い、芸能人として活躍していたのです。しかも、彼女は別人のように明るく、きれいな女性へと変身していました。本人も言う通り、整形したかのような変わりようです。しかし、彼女の大きな変化は、暗い印象から明るく変わっただけではありません。昔は下ろしていた前髪を上げていたことです。それは、昔「おでこを出すとかわいい」と言った由輝の言葉を覚えていたせいなのかどうかはわかりません。由輝は彼女の変化と、夢を実現させたことに驚くばかりでした。

7.『いとしのニーナ』

『いとしのニーナ』は、幻冬社コミックスから単行本化されたラブストーリーである。小学校からの幼なじみである2人の男子が引き起こす、ある事件から始まるもので、切ない感じの青春ラブストーリーとは違う展開が見どころの作品だ。登場する女子もかわいく、時代の風潮を掴んだ親子関係が背景にあるのも面白い。いくえみ綾は活動期間が長い漫画家の1人だが、時代に合ったストーリー展開の上手さや、意外性を描く漫画家として人気の高さが納得できる作品である。

『いとしのニーナ』のあらすじ・魅力

正行(まさゆき)と厚志(あつし)は小学校から一緒で、常に行動をともにしている幼なじみです。あるとき、厚志は驚くようなことを正行から告白されます。それは、以前から好きだった女子高生、新名(にいな)を拉致したという内容でした。正行には、親に使わせてもらっているアパートがあります。そこに新名を隠し、正行は帰すつもりがありません。新名は、正行たちが通学電車の中で見かけていた別の高校の生徒で、以前から正行たちが「かわいい」と思っていた女子でした。しかし、正行に話を聞きながら状況をいろいろ考察しているうち、厚志は次第に共犯者の存在に気づき始めます。実は、正行たちから新名の噂を聞いて興味を持った牛島(うしじま)が絡んでいるということがわかってきたのです。

牛島の目を盗み、新名を解放するものの、厚志は新名から「責任として牛島から守って」という任務を与えられてしまいます。そんななか、牛島がある事件で逮捕されるなど、状況は変化していきます。厚志は新名に思いを寄せますが、当然ながら新名にはその気はありません。そのうちに新名には好きな人ができてしまい、厚志の任務も終了に近づくのかと思いきや、また違う展開が待っています。新名は、拉致されたトラウマを抱えていることがわかりますが、なぜかそのトラウマを解決するために牛島が一役買っているなど、読んでいくと良い意味での裏切りも用意されていて、目が離せません。

1巻:犯罪者と共犯者?ショッキングな始まり

『いとしのニーナ』の始まりは、正行が厚志に「新名を拉致した」と告白する、とてもショッキングなシーンから始まります。言われるままに正行のアパートに行ってみると、そこには手足の自由を奪われ、口にガムテープを貼られた姿の新名がいました。その状況に、厚志は呆然と立ち尽くします。これは、立派な犯罪です。正行は放任主義な親によって、自分で自由に使えるアパートを持っているのです。そのアパートの部屋が、新名監禁の現場になっていました。拉致をした理由を問いただすと『告白したら断られたから』と話す正行に、厚志は呆れ、困惑します。

厚志が新名の口からガムテープを剥がそうとすると『騒ぐからダメだ!』と止める正行の姿は、どう見ても犯罪者にしか思えません。そして、その現場を黙認してしまう厚志も、共犯者になってしまう可能性は大です。拉致の告白から始まる冒頭シーンは驚きますが、短略的な行動や親の放任主義が犯罪につながってしまうといった時代を反映していると言えます。ただ『いとしのニーナ』は、拉致したことから意外な展開へとつながっていくのが魅力であり、面白い部分です。そのため、この冒頭部分は、その後の流れに引き込んでしまう重要なポイントではないでしょうか。

自分に重ねやすいテーマで共感しやすいところが魅力

いくえみ綾の漫画は、恋愛にありがちな心情や複雑な人間関係を上手に描いているものが多く、それが魅力と言えるでしょう。既婚者をテーマにした作品もありますが、登場人物の多くは10代や20代の多感な世代が中心で、誰もが通過したような共感しやすい内容も魅力的です。なかには、現実としては起こりにくい内容も含まれていますが、どれも切ない男女の思いがベースになっています。恋人との関係、素直になれない自分の本当の気持ち、そして、親友との複雑な三角関係など、素直にハッピーエンドにならないところが、面白さにつながっている作品ばかりです。いくえみ綾の漫画に、自分の懐かしい思い出や抱えている問題を重ねながら、じっくりラブストーリーに浸ってみるのもいいかもしれません。

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